あのね

蜜蜂と遠雷のあのねのレビュー・感想・評価

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
5.0
エンドロールの後もしばらく座席から立ち上がれなかったが、清掃が始まってしまうので慌てて劇場の外に出た。
それでもビルの外に出る気にはとてもなれず、TOHOシネマズのトイレにこもってこれを書いている。

上映時間の118分のうち、100分は涙を流していたと思う。
それは終始御涙頂戴の演出だったからというわけではもちろんない。
原作を読んだとき、活字のみから得た、自分の頭の中の想像でしかなかったはずの栄伝亜夜が、マサル・カルロス・レヴィー・アナトールが、風間塵が、高島明石が、まったくイメージそのままの姿で生きていた。そのままの演奏をしていた。
そのことがうれしくてうれしくて、彼らが舞台袖から現れただけで泣いてしまった。観客と一緒に拍手をしてしまいそうになった。

イメージの中でしかなかった情景が、こうして実写映画という形になってたしかにここに存在している。
実写化ってこういうものだよ!
と世界中の映画監督たちに言いたい。

クライマックスのプロコフィエフの3番、あのシーンは映画史に残るとおもう。


(メモ)スクリーン8のH列はちょうどいい
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