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蜜蜂と遠雷のpandaのレビュー・感想・評価

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
4.4
原作未読

予告に惹かれたのと「春と修羅」を聴いてみたかったので。レイトのせいか人がとても少なくてそれがまた良かったといったらダメかもしれないけどなんの雑音も感じることなく浸れて極上のコンサートを独り占めした気分でした。大満足。

ピアノに語らせて変に説明しない。その分音は贅沢に使ってたと思います(素人ですが)そして役者さんの演技との相乗効果。松岡茉優さんはもう文句なしに素晴らしい。そしてピアニストそれぞれがコンテストの短い期間の中で感じ変化していく様が鮮やかでした。特に松阪桃李さんが良かった。他のキャストも絶妙で、平田満さんの優しい存在感は安心するし誰とも交わらないのにホッとする片桐はいりさんはさすが。眞島秀和さんも素敵でした。

カメラワークや光の表現も好き。特に夜に向かうシーンが良かった。空間の中に人物を置くときの絵のような構図、楽器以外の音の表現(特に水音)も好み。何よりピアノの音が大好きなのでとにかくひたすら聴き入ってしまいました。

専門的なことは何もわからないし、原作も読んでないのでまだ違う何かがあるのかもしれないけれども、13歳の亜夜ちゃんの傷ついた心に容赦なく降り注ぐようでいて実はみんな見守ってるんだと思えたから、音楽という共通言語を持つ人たちがとても羨ましく、でもほんの少しお裾分けを貰えたような、そんな気持ち。
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