Hiroki

家族にサルーテ!イスキア島は大騒動のHirokiのレビュー・感想・評価

3.7
『幸せのちから』『パパが遺した物語』のガブリエレ・ムッチーノのイタリア凱旋作品。
出演も『魅せられて』のステファニア・サンドレッリ
『シチリアーノ』のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ
『はじまりは五つ星ホテルから』のステファノ・アコルシ
『ジョン・ウィック:チャプター2』のクラウディア・ジェリーニ
『いつだってやめられる』のヴァレリア・ソラリーノ
『8 1/2』のサンドラ・ミーロ
『愛と銃弾』のジャンパオロ・モレッリ
とイタリア映画を観た事がある人なら見覚えのある人ばかりのオールスターキャスト。
相当力入ってます。

物語としてはある夫婦の金婚式のために島に集まった家族や親戚がもろもろ問題を抱えていてやがて大騒動に…といういかにもヨーロッパのラテン系の国にありそうなコメディ映画展開。
まず序盤に一気に家族19人が出てきて誰が誰かわからない。関係性に置いていかれるので相関図的なもの欲しかった。
ちなみに私は最後までアルツハイマーにかかっているサンドロ(マッシモ・ギーニ)がマリア(サンドラ・ミーロ)の息子だったと気づきませんでした。
あとイザベッラ(エレナ・クッチ)がこの家族とどういう関係なのか良く分からなかった。遠い親戚的な感じなのか…

イタリア語の原題『A casa tutti bene』は“家ではみんな良い感じ”という意味。
これがもーとてもイタリア特有のブラックジョークが効いていて、この家族には1つも良い感じな所なんてないんですよね。
不倫、仕事、借金、介護、嫉妬。
家族の中で渦巻くありとあらゆる問題を集めましたみたいな。
家族には隠していた仮面がどんどん剥がれていって真実の顔が見える。
それでもラスト夫婦以外のみんなが島を離れてもほとんどの問題は解決せず、それぞれ元の生活に戻っていく。
この終わり方はちょっと好きでした。

あとはラスト前くらいに主人のピエトロ(イヴァノ・マレスコッティ)が言い放つ、
「そもそもおれは孤児だったんだ。家族なんてクソ食らえだ!」
的なセリフが最高に笑えました。
なんかこのくらいのスタンスが家族に対しては良い気がします。
家族だって適切な距離というのは大切です。

イタリア語ってなんか聞いてると音楽みたい。
リズムが本当に心地よい。
さすがオペラの国。
だからイタリア映画が好きなんだろうなー。

2021-55
Hiroki

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