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ジュラシック・ワールド/新たなる支配者のmichikoのレビュー・感想・評価

2.0
私が生涯ベストワン、マイ・ベスト・ムービーと考える『ジュラシック・パーク』のシリーズ最終作。評判は聞いていた。前作『炎の王国』のあのつまらなさからも第1作目を超える事はまず無理だろう事は分かりきっていた。いや、4作目『ジュラシック・ワールド』を超える事すらも無理だろう。しかし別にいい。あの素晴らしいサウンドが聴けるだけでも、満足するだろう。恐竜の初めて登場するシーンか、自然が溢れるシーンか、もしくはエンディングか、どこであのメインテーマが大音量で流れるのか楽しみにしていたが、気付いたらスタッフロールすら終わっていた。
シナリオをまとめ上げる、アイデア溢れるアクションシーンを作る、そんな難しい事を注文していない。只々、メインテーマを流して欲しい、そんな誰にでも出来る要望ですら叶えさせてくれないのか。

6作も続いた本シリーズ。恐竜のテーマパークでのパニックものから時代は進み、人類と恐竜が共存している世界となる。この共存は1作目から否定されているテーマではあるが、本シリーズで延々と描き続けられている。やっと本作でひとつのアンサーが提示されるが、特に解決する為の新しいアイデアも無く、納得感は薄い。結局は1作目の結論と同じで、生物の生命力は科学では制御する事は出来ず、そういった人間の驕りは人間といった生物の特徴なのである。
前作から登場したクローン人間も何故必要だったのか不明であり、彼女がいなくても人類の過ちは延々と言われていたし、結局彼女は十分愛されていたわけで、何の問題提起にもなっていない。只人類を恐竜との共存に向かわせる為だけの戦犯キャラとして語り継がれ余りにも可哀想である。

恐怖シーンの見せ場、アクションシーンの映え度、どれをとっても新鮮さは無い。手をかざせば恐竜は動きを止め、巨大恐竜にはT-REXが立ち向かってくれる。いや、只唯一あるとすると、バイクでのラプトルとのチェイスはこれまでに無いスピード感と躍動感がハラハラさせ面白かった。この時のクレアのアクションも非常に良かった。

これまでの主人公を総出演させるという難題に立ち向かい、イナゴによる人類滅亡の危機というよく分からない方向に行って完結した本シリーズ。ますます初代の思い出補正は美化され、私の中で君臨する。
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