もち

ウエスト・サイド・ストーリーのもちのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

名曲揃いで音楽が良いのはもちろんのこと、映画ならではの映像の陰影やカメラワークがとても良かったです。
曲が良いのは最早当たり前って感じでしたがオーケストラの音楽が映画館の音響で聞けたのは最高でした。あと、ダンスパートがめちゃくちゃ良かったです…!特にアニータ役のアリアナのダンスは文字通り目を奪われるほどでした。ずば抜けたキレとターンでひらめくドレス、鍛え抜かれた足、本当に本当に素晴らしかった…!衣装もすごく可愛くて目でも耳でも楽しめる作品だと思いました。

そしてそして…なんと言ってもマリア役のレイチェルゼグラーがほんとーーーーーーーに最高でした…!なんて透き通った歌声…表情の使い方も最高で、恋してウキウキな表情からラストシーンで見せる全てを失った人間の表情は思わずゾクッとしました。あそこでフェードアウトでエンドロールなのもひーーーってなった…

内容はロミオとジュリエットをモチーフにしたミュージカルということで今作も1作目のリスペクトを感じられる作りだなと思いました。前作でアニータ役だったリタ・モレノがヴァレンティーナとして存在感を見せていたのも痺れました。

トニーとマリアが出会うシーンはもう少しきっかけというか何かあっても良かったんじゃないかな…?と思いました。内容知らないで見た人はもしかすると突然惹かれ合い始めてキスまでのスピードに置いてけぼりになりそうだなぁと…それくらい突然感を感じてしまいました…トニーがダンスに来ることを決めたのもどういう心情の流れなのか分かりにくさもあり…そこが少し内容的に残念でした。

トランスジェンダーの子が警察署で散々お前は女だからジェッツの仲間じゃない的なことを言われて殴り合いの喧嘩にまで発展してたんだけど、リフの死後、ジェッツのメンバーから「頼んだぞ、ダチ坊」的な(ちゃんとなんて言ってたか覚えてないけど確か、〇〇BOYって言ってたはず)ことを言われメンバーとしても男としても認められた?認めさせたシーンは良かったなと思いました。

あと、トニーへマリアからの伝言を伝えに来たアニータが乱暴されそうになった時、ジェッツガールズが必至に止めて!!と言っていたのが印象的だった。敵対組織でもその止めに入ってくれたのはほっとしました。結局ジェッツの男たちにより店から追い出されてどうにも出来ていなかったけど、民族間の対立だけでなく男女の格差も描かれている中で女性が女性の味方でいてくれた事が私にとっては救いでした。(後にヴァレンティーナが止めに入って最悪の状況にはならなかったのかな…?と解釈しています)
それにしてもこの当たりから終盤にかけてのシーンの全てが上手くいかない感じが内容を知っていてもすごく辛かったです…それぞれの大事なものや悲しみや色んな感情があるからこそコイツがいけないんだ!!と言い切ることは出来ないし、それがまた胸を締め付ける思いに…でもそもそも喧嘩とか最初からしないでくれよ…アニータとラブラブイチャイチャな夜を過ごしていれば、マリアが最初に言った通りトニーがその場に行かなければ…いろんなたらればが出てきても物語は進んでしまうやるせなさがありました。


最後にウエストサイドストーリーがまた映画化すると知った時、最初はスピルバーグ監督のミュージカルってどうなんだろう?て思ってたけど、集大成と言うだけあってとにかくリメイク作品として完成されているなと感じました。最初はアンセル・エルゴートに惹かれて見ようと思っていたのですが、今作は女性陣が本当に最高でした。女性陣を見に行く映画だったと言っても過言ではないくらい、マリアもアニータもヴァレンティーナも彼女たちを取り巻く周りの女性陣も全てが最高に良かった…
ミュージカル好きな方には特に劇場で見ていただきたいなと思いました。
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