重厚で華麗な映像と音楽のパワーに圧倒される作品ですが、一目で恋に落ちた若い男女が障害を乗り越え悪戦苦闘する溌剌とした物語とのバランスが良くないなあという印象です。
トニー役のアンセル・エルゴートは設定に対してマスクが甘すぎる気もしますが善戦しています。
圧巻なのはヒロイン、マリアを演じるレイチェル・ゼグラーで本当に素晴らしかったです!
エモーションが台詞や演技ではなく歌と踊りに変じていくのがミュージカルの方法論です。
この恋する気持ちの爆発するような高まりは普通の言葉ではとても表現できない!歌と踊りに託す以外にこの胸の想いは表せないというミュージカルの核心を小さい体いっぱいに見事に体現していました。
小さいといえば61年版ウエスト・サイド物語でマリアを演じたナタリー・ウッドもタイニーとあだ名される小さい女優でした。
トニーとマリアの身長差はこの物語のキーイメージの一つですね。
「アメリカ」の群舞シーンは素晴らしいんですが、トニーが夜の街を彷徨ながらソロで歌う「マリア」の繊細さ、リタ・モレノがしみじみと歌う「サムウェア」の哀感も忘れ難いです。もちろん「トゥナイト」のデュエットには見惚れますし、「アイ・フィール・プリティ」は可愛くて何度も観たい❗️
しかし、例えば「インディー・ジョーンズ/魔宮の伝説」の冒頭シーンはミュージカルそのものだった。スピルバーグには元からミュージカル指向があったという意見(ご本人もインタビューでそう言ってます)に対して私はこう思うのです。
だったらオレは「インディー・ジョーンズ/魔宮の伝説」の方を観たい❗️