あらじる

ウエスト・サイド・ストーリーのあらじるのレビュー・感想・評価

4.0
舞台そのものではなく、舞台を見るという体験の再現性が非常に高い。
ミュージカル映画を見ているとどうしても「ミュージカル映画見てるな〜」という気持ちになってしまっていたが、今回初めて「ミュージカルを見ている!」という気持ちになれたのが驚き。
冒頭から音がすごい(地方の小さな劇場でさえも感じるほど)と思っていたら、ドゥダメル指揮!すごい!
映像も一切無駄のない画面作りでアニメを見ているような気持ちよさがあった。計算され尽くしたような画面をフィルムで撮ってしまうあたりがさすが。

キャスティングも良かった。特にリフ役のマイクファイストとアニータ役のアリアナデボーズは表現もさることながら見た目の説得力が凄まじい。
そしてアンセルの一件に関しては、作品のテーマからしても本人の「公式な」謝罪&続投・監督からの説明という対応が正しかったのでは……?と個人的に感じてしまう。
作中の随所に価値観のアップデートが見られ、語弊を恐れずに書くならば「この作品ならば、真摯に説明さえすれば彼は問題なく続投できたのでは?」と映画を見たあとさらに強く感じてしまったが、事件の真実はうやむやなままなのでなんとも言えない………。とにかく彼女に適切なケアがされていることを願うばかり。どんなに多くの人がその作品に関わり多くの時間を費やしてきたとしても、それを犠牲にしてもなお1人の人間の人生は尊重されるべき。愛より命の方が大切。
あらじる

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