もか

ウエスト・サイド・ストーリーのもかのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

85点

"今、なぜ、このタイミングで、ウエストサイドストーリーを、スピルバーグが作るのか"が謎だったけど、観たらわかった。

これは、2020年に放映されるべき映画でした。

時代はアメリカはトランプ政権になり、多様性が謳われる中で民族問題(移民問題)が起きた。

コロナ禍の中でも、暴動が起きた。コロナ関係なく人も死にました。

色々あったけど、この映画で、スピルバーグ=反トランプ(反共産党)という事を表していたのだった。

それがわかったのは、人に言われて気づいた。
なので、時代のバックグラウンドをしっかり把握しないと、面白さの受け取り方が表層的になってしまうので、もったいない。

アメリカ(先民族)とプエロトリコ(移民族)の闘いの中で、
以前(移民時)は上手くやっていたのに、いつの間にかまた仲が悪くなってしまった。対民族を繋ぐおばあちゃん(プエロトリコ人だけどアメリカ人と結婚した)が、広い心でみんなを受け止める。

誰にも止められない闘いだけど、最後はみんなでアントンを担ぎ上げ警察まで一緒に向かう姿がなんともかけがえのなかったシーン。

お互いのリーダーが死に、アントンも死に、泣き叫ぶマリアを見るそれぞれの仲間達も、同じ寂しさを感じている。戦争が終わった後の感情。
勝ちも負けもなく、大切な人を失ったそれぞれの民族はこれからどこに向かうのか。

それでも、色々とあったけども、
前を向いて歩く姿が感じられるシーンだった。



さらには、あの名画であるミュージカルと掛け合わせて、可憐に作られていた。

スピルバーグは、オリジナル版ウエストサイドストーリーの監督であるロバート・ワイズに憧れていたのか。
SFからのミュージカルという流れが一緒。

彼の中で最大級のものを手掛けたい、今このタイミングで、と思ったのか。

ただ、コロナの影響で、延期になり、タイミングを逃した。そして、最大のアカデミー賞も逃してしまった。

運がなかったと思うけど、ただ、タイミングを逃しても、素晴らしかったと思う。

正直予告編では面白くなさそう、なんでこれを今作ったのか意味がわからなかったけど、予想を反する出来でした。
もか

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