Ninico

ウエスト・サイド・ストーリーのNinicoのレビュー・感想・評価

3.7
ウエスト•サイド•ストーリーは、ミュージカルの舞台で演じられてきた作品である。
本作はそれを映画にしたものにも関わらず、冒頭から最後まで徹頭徹尾、映画らしい映画である。

誤解を恐れずに言うと特に目新しいものはなかったし、ストーリーも大味なロミオとジュリエット調なのだが、主演の女優の歌声の魅力と、ダンス、とりわけ大勢の身体を使った人力の感情表現の畳みかけに頭が麻痺してきて、荒唐無稽な恋を歌う場面はすっかり泣かされ、
乱闘シーンでは固唾を飲んで心拍数マックスでスクリーンを見守ったりして、
要するに私は、正月からスピルバーグっぽいコテコテの演出で完璧に映画に乗せられて最後まで楽しんでしまったのだ。

思えば、80年代生まれの自分が初めて映画館で観たのはスピルバーグ作品で、自分の中に「映画らしさ」のアンカリングをしたのもスピルバーグ監督だった。

スピルバーグ的なカメラワーク、スピルバーグ的な編集、スピルバーグ的な「わかりやすさ」。
そういうものから決別すべく中高生以降は賢ぶったフランス映画やイタリア映画を好んで観たが、それから20年以上経った2023年の正月、映画館で観ようと思った一本めの映画は何故かスピルバーグ監督のウエスト•サイド•ストーリーであった。そして思った以上にスピルバーグらしさ満点で楽しかった。音楽は好みではなかったが決闘の準備をするシーンの曲とダンスのグルーヴ感、そこからのクライマックスまでの流れは素晴らしかった。恋を歌うトゥナイトも凄い。
2022年公開の映画とは思えないくらいクラシックでアナログっぽくてどこか懐かしかった。

☆メモ☆
目黒シネマにて2023/1/3鑑賞。
スクリーンが大きくないので真ん中より前の席でOK。飲食&飲酒禁止。駅近で空いてる。
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