ふな

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇りのふなのレビュー・感想・評価

4.0
剣と魔法の世界が舞台のザ・ファンタジー作品。ファンタジー作品が苦手でなければ予備知識なしでも鑑賞できる。
キャラクターに魅力があり、このキャラクターのこのシーンがかっこいい!とお気に入りが見つかるくらい、それぞれに活躍の場があった。
私が特に好きなのは生き物に変身できる民族のドリックと女戦士ホルガ。
ドリックが様々な生き物に変身して城の中を駆け回るシーンは非常に見応えがあった。動物から動物への変身が細かく、パッとマジックのように一瞬で変身する描写あれば、体が少しずつ変化していく描写もあり、ドリックの能力をとてもかっこよく描いていた。
ホルガは私が単純に強い女が好きというのもあり、冒頭から彼女の破天荒な戦いぶりに惚れてしまった。戦闘シーンも良い。ホルガがパーティーにいるだけで頼もしさが違うのだが、そんな彼女にも弱さはあった。男を作って村から追い出され、かといってその男とは家族にはなりきれず、そんな一面に人間らしさを感じたのだ。
このパーティーはみんなが何かの「失敗」を抱えている。そこが人間らしく、がむしゃらに前に進む姿を応援したくなってしまうのだ。そんなキャラクター達の掛け合いによるコミック的なギャグシーンもくすっと笑えて鑑賞しやすかった。
また、モンスターも面白いヴィジュアルをしている。脳みその犬はなかなか気持ち悪いがそれが良い。王道のミミックも面白かった。モンスターをはじめ、生き物のCGは非常に良い出来だった。

気に入らなかった点をあげるとすれば、主人公がパッとしないという点と、CGの使い方だろう。
主人公が戦闘で役に立たない(そこも笑えるのだが)ので派手さがないのと、吟遊詩人という設定が伝わりにくかったように思う。確かに楽器を持っていたが彼の思い出の品か何かだと思っていた。また同じ歌しか歌わない。色んなタイプの吟遊詩人がいるのだなと鑑賞後に思いつつ、やはり彼に詩的な印象は抱けなかった。
CGについては、出来は良いのだが見せ方の問題だと思う。特に魔法がチープに見えてしまったのが残念だった。また、魔法の手と手の押し合いは、魔法で実戦するには物理的であまり私の好みではなかった。

ポスターを初めて見た時の「なんだこのB級映画感は……」という印象はすっかり拭えた。子供でも大人でも楽しめるテンポの良い映画だ。ファンタジーが好きならきっと愛着を持てるものに出会えるはずなので、一度鑑賞してみても良いと思う。
ふな

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