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キャッツのtaylorblazeのレビュー・感想・評価

キャッツ(2019年製作の映画)
4.0
ジャパンプレミア試写会(吹替上映)で鑑賞。
普段映画を吹替で観ることはないですし、前評判が散々だったこともあり全く期待せずに行ったのですが、
蓋を開けてみればとても良くできたミュージカル映画でした。
舞台は未見なので、舞台版キャッツの大ファンの人の目にどう映るのかは分かりません。
ただ言えるのは、予告で見るあのビジュアルがどうしても無理な人、ミュージカルがそれほど好きではない人にとっては何の魅力も感じられない、もしくは観るのが苦痛な作品だろうということです。

まず、いやらしくし過ぎているという指摘もあるそうですが、私はそうは感じませんでした。ここはきっと個人差がかなり出る部分だと思います。
ほぼ人間の形をした彼らを猫として見るなら、なんか無理やりいやらしくしてる・・と思うのかもしれません。
私は完全に「人間が演じる猫」として見ていました。映画なので当たり前ですが。
でも、あれを本物の猫と思うには無理があり過ぎます。
舞台版のキャッツが既に実写なわけですから、そっくりそのまま映画を作ったところで、舞台を少し豪華にしただけになってしまいます。
じゃあ映画では何ができるのかというと、
舞台版にはない毛質感を持たせ、より猫に近付けることなのではと思います。
決して本物の猫にはならないんです。キャッツ=ミュージカル舞台のキャッツなので。
同じくミュージカル作品が存在しているということで、ライオンキングのように超実写にすれば良かったのに、という声も多いようですが、ディズニーがアニメという土台を作っている上に、
去年の実写でも、ティモン、プンバァのコミカル勢以外のキャラクターは、歌っている口元が大きくスクリーンに映し出されることはありませんでした。
実写の動物がアニメみたいに大口を開けて歌っていると、それもまた違和感があるんですよね。

何より、舞台ではシーンを切り替えるために、背景や小道具を変化させますが、素早い作業が求められるため、大掛かりなセットは使用されません。
映画ではその制限がゼロに等しいですから、キャッツ達が様々な場所で自由自在に踊り、歌うことができるわけです。
ミュージカルの世界を無限大に広げたような感覚です。
加えて、カメラワークが切り替えられることから、色々なジャンルのダンスを色々な角度から見ることもできます。
これもまた、映画化する意味があったなぁと思える要素のひとつです。
そんなこんなで、
私はこのビジュアルに特に違和感は持ちませんでした。
寧ろ、手足が本物の猫のようだったらダンスの繊細さも欠けていたと思います。

吹替自体もレアな上に、おまけにそれでミュージカル映画を観るというのは初めての経験でしたが、オリジナルの尺に合わせなければいけないために言葉選びや区切り方が独特で、日本語でありながら聞き取れない部分が多かったです。(実際、オリジナルのサントラは聞き取り易かった)
ただ、これはキャラクターの名前などの予備知識を全く入れなかった私の問題もあるので、軽くwikiなどで調べていけばかなりスムーズになりそうです。
グリザベラ役の高橋あず美さん、
とても小柄な方ですが、それを感じさせないパワフルな歌声でした。
実力派を中心としたキャスティングということもあり、普段吹替は観ないけど好きな俳優が出ているから気になる、という方にも満足してもらえそうな仕上がりとなっていました。

見るからに人の良さそうなフーパー監督とスタッフ陣は、舞台挨拶が終わるとそのまま客席に混じって一緒に鑑賞することに。
Congratulations Tom!と声をかけると、優しい笑顔でThank youと返してくれました。
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