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キャッツのgnspのレビュー・感想・評価

キャッツ(2019年製作の映画)
2.0
「彼ら」は猫ではない。
ヒトとネコを交配して生まれた「なにか」である。


舞台版は未見。

まずもって絶対に触れておかなければいけないのは、出演された皆さんの歌・ダンス・演技は素晴らしかったということ!!!
ダンス方面は、主演フランチェスカ・ヘイワードのバレエは勿論、スキンブル役スティーブン・マックレーのタップダンスは圧巻!
そして歌はデルーロやテイラーといったお馴染みの人ら、そして何といってもグリザベラ役のジェニファー・ハドソンの”Memory”は涙腺が滲んだ。
演技ではイアン・マッケランの大ベテラン「ガス」が魅せた。
異形の姿ながらも、「生身」の凄さが間違いなく映っている。それだけは忘れないでほしい。


で、「彼ら」の件
…に行く前の最初の一音なんです。
まず最初の一音目、そこから「これは尋常ならざる映画だ」と確信させられた。えっこの音から始まるんですか?と。

すごいのが始まった。

ケモナーというのは、その動物の姿のまま人間的自我をもって行動することにモエ-を感じるんだと思っているんだけど、「彼ら」はそういった存在では決してない。
「猫」であるにはあまりに人間の顔・頭身であり、「人間」であるにはあまりに猫の耳、体毛、尻尾。
これは明らかにヒト×ネコで勾配して生まれた新種…としか言いようがない出で立ちだった。
服を着てるとまだマシなんですけどね。イドリス格好良い。でもあとで脱ぐと格好悪くなる、残念。
この辺はしばらくすると「耳と尻尾を意識から消そう」とすることによって慣れます。

しかし中盤にあることに気付いてしまうのだ。
「えっここ加工してないの!?」と。
そういえば劇中そこが映るカットが無かったと。
展開上白日の下に晒されるので、嫌でも気付かされます。
このせいでせっかく慣れてた「彼ら」に再び違和感が噴出してしまった。
舞台版未見ではあるものの、ググった画像でそれなりに工夫しているのが分かったんで、じゃあなんで尚更加工してないの!?っていう。

あと股間に当たって悶絶ってギャグシーンが何度かあるけど、そこには何もありません。何故悶絶しているんだ。格納型なのか。

そんなわけで「ミュージカル」ですので、もちろん全て歌で説明して歌で進行する。それ以外では大した説明は無いし、マキャヴィティがどういう奴なのかも知らされずに進む。「あ〜危ない人なのかな〜」って。そこはノリだよ!!!
「グレイテスト・ショーマン」以上に歌しかないので、その辺が合わない人は注意。
あと舞台じゃないのを良いことに瞬間移動します。

そういうことで「彼ら」は縦横無尽に動き回るのだが、ここのカメラがめちゃくちゃグラッグラするんでシンプルに酔うんだなこれが!!!!
これが一番ダメなんだよ!!!!
もちろんカメラが追う「彼ら」の奇妙な出で立ちに自分が注目し過ぎるがあまり、背景(の幻想的な感じ地味に良かったよ!)で中和できない結果ってこともあるけども、そうなる原因は奇妙さがあるからだし、ってか人の焦点そんなにグラグラしねえから。
「彼ら」より遥かに不快。

あ、猫だけじゃないです。違うのが出ます。何かは言わないし、言ったらみんな行かない。
「ネコ好き」って理由だけで観に行ったらここで拒否反応出るかも。


で、最後にこの作品は化けます。
カルト化します。化けネコです。
身の毛がよだちます。マジで。
口あんぐりです。


まあ、これならアニメでやったほうが「まだ」よかったよね。

観客の反応を気にしすぎる今のご時世、こんなにもあからさまにチューニングをミスった作品が出てきてしまうことに、もはや感謝しかない。



この体験は劇場でするっきゃないね!

黙って行け!!!!!!!!
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