渥美さんが亡くなったときはとてもショックだったが、その彼が旅先からやっと帰ってきた。ファン待望のシリーズ50作目。
邦画で好きな映画は? と聞かれたら『男はつらいよ』と答えてきた。映画を何度も観たし、柴又の記念館も数回訪れた。
公開前は主役不在なので、おそらく総集編みたいな感じになるのだろうと思い、それでも劇場で新作が観られることが嬉しかった。それがこんなにも上手く作ってあるとは……。劇場では泣きっぱなしだった。
満男が主役となり話が進んでいき所々、満男のナレーションが入り過去の映像が流される。もうこれだけで涙が出てくる。出演者の方々の多くが亡くなられているがそれでも映画の中では、おなじみの面々が笑ったり泣いたりしているのだ。
運動会に応援しに行くと言う寅さんに困った顔を見せる満男。人間は何の為に生きているのかと尋ねる満男にカラッと答える寅さん。顔を赤くして怒っているタコ社長。おいちゃんが怒って、おばちゃんが泣く。さくらに恋をする博。無情にも月日は流れ過ぎ去っていった。ラストもとても良い。
泉ちゃんのお父さんが入院されていてシビアなシーンとオープニングが寅さんではなく桑田佳祐だった所。また隣のこうちゃんが何故かイキってるところはいらなかった。
年老いて思うことがある。人は何の為に生きているのだろうか。
タイトルが全て。観終わってからそう思った。
『お帰り、寅さん』
何度観ても、そう思う。