ケジメピザ

男はつらいよ お帰り 寅さんのケジメピザのレビュー・感想・評価

4.5
50 オープニングクレジット
配役
車寅次郎 渥美清
さくら 倍賞千恵子
満男 吉岡秀隆
イズミ 後藤久美子
博 前田吟
朱美 美保純
三平 北山雅康
ユリ 桜田ひより
源公 佐藤蛾次郎
礼子 夏木マリ
一男 橋爪功
窪田 小林稔侍
御前様 笹野高史
節子 池脇千鶴
カンニング竹山
濱田マリ
出川哲郎
松野太紀
林家たま平
立川志らく
リリー 浅丘ルリ子

脚本 山田洋次 朝間義隆
音楽 山本直純 山本純ノ介
撮影 近森眞史
美術監修 出川三男
美術 倉田智子 吉澤祥子
照明 土山正人
編集 石井巖 石島一秀
録音 岸田和美
監督助手 佐々江智明
プロデューサー 深澤宏
原作・監督 山田洋次

歌詞・口上(桑田佳祐)
わたくし生まれも育ちも葛飾柴又です 帝釈天で産湯をつかり 姓は車名は寅次郎 人呼んでフーテンの寅と発します

俺が居たんじゃお嫁にゃ行けぬ 分かっちゃいるんだ妹よ
いつかお前の喜ぶような 偉い兄貴になりたくて
奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の
今日も涙の日が落ちる 日が落ちる

ドブに落ちても根のある奴は いつかは蓮の花と咲く
意地は張っても心の中じゃ 泣いているんだ兄さんは
目方で男が売れるなら こんな苦労も
こんな苦労も掛けまいに掛けまいに

男という物つらい物 顔で笑って
顔で笑って胆で泣く 胆で泣く

兎角 西に行きましても東に行きましても
土地土地の御あ兄いさん 御あ姐さんに
御厄介 掛けがちなる若造です

以後 見苦しい面体御見知りおかれまして
向後万端 引き立って御頼申します


作る意味があった 最後の最後を締めくくるにふさわしい名作!
前作 1995年『~ 寅次郎紅の花』は最後のつもりで作ってはいなかったが奇しくも最後を締めくくる名作となっていた

通常は寅さんが柴又に「帰ってきた時」が映画になっているが 今作は「居ない時」が描かれている つまり劇中で寅さんは生きている

前作から24年
コレは1作目1969年『男はつらいよ』~48作目1995年『~ 寅次郎紅の花』までの 26年間に匹敵する時間であるが コレが十分に意味を持った

1989年『~ ぼくの伯父さん』以降 「満男はつらいよ」となっていたが その時分の満男にはどうにも痛々しい違和感があった
コメディだと言えばそうなのかも知れないが「リアリティ」が無かったのだ その満男が見事に寅さんと化していた

実は 前作後に別れていた満男と泉が偶然に東京で再会する 満男のはしゃぎっぷりは十分に寅さんに見える
隔てられた時間によって お互いの人生は大きく変わっていたが 気持ちは変わっていない
この二人の関係性は 正に前作『~ 寅次郎紅の花』の寅さんとリリーにオーバーラップする組み立てだが キスが出来る分満男の方が一枚上手か

今にしてみると「満男=吉岡秀隆」「泉=後藤久美子」というキャスティングは大正解だったと思える
コレこそ監督の先見の明と言えるだろう

渥美清の急逝により 期せずして最終作となっていた『~ 寅次郎紅の花』以降 ファン・スタッフ・キャスト共に不完全燃焼な部分があったと思うのだが それを見事に消化してみせた作品だと思う

この間に 松村達雄 下條正巳 三崎千恵子 太宰久雄 亡くなったのは誠に残念でならない
合掌

過去5回出演していたが 今回初めてクレジットされた出川哲郎は嬉しいだろう
ケジメピザ

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