偉大なるシリーズの喪失と趨勢を万感去来に描いた、人情悲喜劇の秀作です。
男はつらいよの続編というよりも42作目から続く“満男シリーズ”の完全なる後日談となっていて、初心者でもなんとなく寅さんの世界観がわかるという構成はかなり秀逸、単なるファンムービーでは終わっていません。
心配していた桑田さんの歌唱はいつもの桑田節ではない敬意のこもったものであり、これは杞憂でした。
怒涛のマドンナラッシュも素晴らしく、ああ、寅さん映画のファンでいてほんとうに良かったと強く感じました。
試写会での鑑賞でしたが、年齢層高めで笑い声が溢れ、まるで子供の頃にお茶の間のテレビで男はつらいよを観ながら母と一緒に笑っているような気分になり、自然と涙が出てしまってました…かなり奇妙な体験です。
となりのおばさまがマドンナが映る度に｢あっ、小百合ちゃん！｣とかつぶやいてるのがなんだかちょっとツボでした。
あと橋爪功さん、立川志らくさん、カンニング竹山さん等、登場するだけで笑いが起こるゲスト陣が面白かったです。
特に濱田マリさんの台詞回しは体感一番ウケてました。
