【フランス医学部の壮絶な勉強バトル開幕】 医者であるトマ・リルティの『ヒポクラテスの子供達』、『Médecin de Campagne』に次ぐ医学物語シリーズ第3弾。『Première Année』は監督の大学時代が反映されており、studyramaの監督インタビューによれば彼が実際に学んだ大学で撮影されました。『ヒポクラテスの子供達』では意識高い系研修医の挫折が描かれていたが、今回はフランスの教育制度を壮絶に批判した作品となっていました。
本作について語る前にフランスの教育制度について語るとしよう。フランスにはPACES(Première année commune aux études de santé)という制度があります。PACESでは医師、歯科医、助産師、および薬剤師の職業に従事する人を制限するために大学1年生のテストの結果で、職業を分類する制度である。テストを通過できるのは上位20%でありその中で華である「医師コース」はトップ2%しか入れない。2000人いたら300人ぐらいしかテストにすら通過できない過酷な世界。しかも、掲示板で成績順位が張り出され、コース選択も公開で順番に成績上位者からコースを選んでいく残酷なものだ。かつて医者よりも映画の方が好きだったが、医学の勉強に注力したトマ・リルティは20年ぶりに医大へ戻り、より一層過酷になっている教育現場を批判すべく本作を作った。以前より生徒数が増え、選択排除のシステムの中に取り込まれ、競争心からくる個人主義によって壊れていく状況に警鐘を鳴らしています。