デブチンバラ

オーソン・ウェルズが遺したもののデブチンバラのレビュー・感想・評価

3.8
「風の向こうへ」をめぐるドキュメンタリー。オーソン・ウェルズは監督デビュー作の「市民ケーン」によって高く評価されるも、その後の作品は「市民ケーン」を超える評価は得られず、映画を作ろうにも絶えず資金難に苦しめ続けられた”呪われた天才”である。でも実はオーソン・ウェルズはカメラの後ろ側にいるより、カメラの前にいた方がもっと実力を発揮出来たのではないだろうか。その巨漢でもって葉巻をくゆらせる仕草はとても絵になり、豪快に笑う顔はまるで少年のようで目を引き、コートを羽織って堂々と歩く姿は実にさまになるからである。そして、オーソン・ウェルズの他にも、「風の向こうへ」に関わった興味深い者たちがいる。カメラマンのゲイリー・グレイヴァーと出演者のピーター・ボグダノヴィッチ(映画監督)である。「美女と野獣」に出てくる野獣がオーソン・ウェルズなら、二人は魔法を掛けられた置き時計と蝋燭の燭台といったところだろう。
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