「影」というタイトルに相応しい水墨画のような白黒基調の画面。モノクロではなく画面に映る全てのオブジェクトは徹底的に彩度を落として白黒に限りなく統一されている。そこに人肌の色だけがうっすらと浮かび、舞うようなアクションの果てに映り込む血の赤はひときわ鮮やかに色彩を帯びて印象的に。設定は三国志の蜀vs呉の荊州争奪戦が元ネタだが、中身は完全に架空の時代劇風武侠アクション。関羽っぽい豪勇な武将と周瑜っぽい都督の影武者である主人公の手合わせと称した一騎討ちが焦点で、『空とぶギロチン』よろしく唐傘に刃のついた武侠モノらしいビックリ超兵器が登場するが活躍は控えめ。陽と陰、光と影、太極図の対照関係を散々強調しその果てに主客転倒して影武者が全てをかっ攫うエンド。正直ストーリーはどうでも良く画作りが全てな感だがそれでも十分見どころある作品。
