コマミー

SHADOW/影武者のコマミーのレビュー・感想・評価

SHADOW/影武者(2018年製作の映画)
3.9
【降り注ぐ刃】

[気まぐれ映画レビューNo.25]

※自分は、学生の頃から「三国志」が好きで、もちろん「レッドクリフ」二部作や、アンディ・ラウ主演の趙雲が主役の映画も鑑賞致しました。そんな中、「HERO」の"チャン・イーモウ"監督が、こんな映画を作りました。



「HERO」「LOVERS」のチャン・イーモウ監督が、"三国志"の中に出てくる「荊州争奪戦」を基に、描いた"武侠映画"だ。自分は根っからの三国志好きだったために、とても気になっていた作品だ。
しかもそれを、チャン・イーモウ監督が作るのにもとても興味が湧いた。

それでは「荊州争奪戦」について少し話すとしよう。赤壁の戦いのあと、劉備は後に「蜀」という国を作るわけだが、その都益州(地方名)の「成都」を手にいれる為に、どうしても荊州を手にいれる必要があったのだ。その後劉備が荊州を制圧したあと益州を掌握したため、同盟関係にあった「呉」と蜀の関係が悪化。ここに三国が出来、三国時代が後にやって来るのだが、その前に孫権の呉と曹操の魏が同盟を結び、連合軍を率い、劉備の義兄弟である軍神関羽が治める荊州全県を大荒の天気の中、制圧したのだ。これが後に、「荊州争奪戦」と呼ばれるのである。

この戦いで関羽は多くの部下と共に戦死する訳だが、この作品はほとんど同じなのである。見事にアレンジされている。そしてあの"傘の武器"も、三国志に出てくる戦法で例えるなら、自分は「八門金鎖の陣」を思い出したのだ。こちらは荊州争奪戦とは関係ないのだが、劉備に諸葛孔明を紹介した人物で、"徐庶"という軍師がいたのだが、その人が考案した戦法が"八門金鎖の陣"だ。気になる方は、是非調べてほしい。

というように、"三国志好き"は間違いなく観てほしい作品であり、武侠映画の"新しい形"でもある。
かつて「グリーン・デスティニー」や「HERO」に魅了された方たち。最新技術での映画製作が多くなっている中国映画界にも、かわらず"新しい武侠映画"が作られるのは、とても嬉しい事である。
それに今回の「SHADOW 影武者」は、色々と"調べて見比べ"ながら、鑑賞することが出来る。

まさに、最高の武侠映画でした。
コマミー

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