CHEBUNBUN

アポカリプス・アフターのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

アポカリプス・アフター(2018年製作の映画)
1.5
【映画/批評月間 ~フランス映画の現在をめぐって~『ウルトラ・レーヴ』のマンディコ枠】
ブンブンは、割と最近はカイエ・デュ・シネマの映画観とは相性が良い。潔癖症になってしまった映画界に対して、「不道徳の世界なくして道徳は成り立たない」という信念で、映画が持つ純粋な面白さを求めているところが共通しているのであろう。ただ、そんなブンブンもどうやらベルトラン・マンディコのファンタスティックな作風は相性が悪いようだ。『ワイルド・ボーイズ』に引き続き、本作も性描写を極限にまで醜悪に描いているのだが、どうも「性描写を前衛的に描いている俺ってかっこいいだろ」という姿勢が鼻につく。『アポカリプス・アフター』に関しては、エロ映画のタイトルを連呼し、ジャン・コクトーやマックス・オフュルスといった映画監督の名前まで引用しながら、モンスターや無機物にエクスタシーを感じる女優が描かれているのだが、単純に女性をマンディコ監督の性的消費の対象としか考えていない感じに腹が立ってきた。映画を単純に引用しまくる監督は確かにいる。ゴダールだ。しかし、ゴダールは映画と映画のフラグメントをつなぎ合わせることで別世界を生み出すのが面白いのであって、マンディコは単なる見掛け倒しなヴィジュアルレベルにとどまってしまっている。映画を引用して新世界を生み出せていた点で『アイランズ』とは雲泥の差のクオリティだったと思う。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUN