朝田

テッド・バンディの朝田のレビュー・感想・評価

テッド・バンディ(2019年製作の映画)
3.0
大量のポップミュージックと軽快なカット割りを用いたスコセッシ的なアプローチで、殺人鬼テッドバンディの正体を暴いていく。極めて陰惨な殺人鬼の物語だが、能天気なポップスとバンディの飄々としたムードが良い意味でコミカルなムードを保つ。バンディを演じるザックエフロンの善人とも悪人とも取れる佇まいが絶妙。彼の表情に全てを託した映画とも言える。テッドバンディが実際に殺人を犯すシーンをあえて完全には見せきらないシーンが続く事で「彼は本当に殺人鬼なのだろうか?」という言わばテッドを愛した女リズの視点が観客に共有される。前述したようなエフロンの表情がさらにその疑問を強めていく。この一種ミステリー的とも言える造りが巧妙。スピーディーにカットを割っていく中で、ラストのテッドとリズの面会室での会話を捉えたシーンはカメラがじっくりとお互いの表情にクローズアップしていく。このようなカメラワークの緩急がサスペンスフルに二人の距離感を演出している。このように見所は多い。が、大量にカットが割られていくが故に印象的な画面が無い。もう少しショットで魅せるシーンがあっても良かったのでは。また、リズに想いを寄せる男(シックスセンスのあの子役。。時は残酷だ)やバンディを支える女など掘り下げ切れていない重要なキャラクターがいるのも頂けない。
朝田

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