Monsieurおむすび

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

4.0
かつて居住地区へと追いやったオセージ族がオイルマネーで富を得ると、その利権に群がり搾取していった白人たちが築いた血と暴力のアメリカ黒歴史。

1920年代の一連の事件を、妻への愛と叔父への服従に揺れるどうしようもない男アーネストの視点で描いたスコセッシ渾身の一作。
206分の実時間ほどは感じさせない重厚さと軽妙さを併せ持った演出と編集に、巨匠の手腕が発揮され、遂に並び立ったディカプリオとデ・ニーロの両巨頭の表と裏の多様な顔、顔、顔が観るものを惹きつけ、そのしがらみを追体験させる。

叔父への畏敬に流され、殺す為に近づいたのに不覚にも本気で愛してしまい、それでも権力に逆らえない愚鈍なアーネスト。
顔を使い分け心に忍び込み静かに謀略を尽くすヘイル。
家族を殺された怒りと白人への疑念、そしてアーネストへの愛。全てを見透かすようなモーリー。
3人の欲望と愛情と猜疑心が絡み合うドラマのえも言われぬ緊張感。
闇に葬られた先住民への暴力と差別が、今、この時代に警鐘を鳴らす。
Monsieurおむすび

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