ジェイムズ・エルロイが暗黒のLA4部作で描いてみせたような、アメリカにおける「白人の悪」。手段を選ばずオセージ族の命を奪いながら、自身は平気で神に祈ってみせるヘイルはその典型。ここまで悪辣な役を演じたデニーロ、久々では。
しかし魅力的なのはやはりディカプリオ演じるアーネストで、徹底的に矛盾している。ヘイルの行為に加担しながらも、一方でモリーの事を愛しているのも事実で、終盤のあの引き裂かれた「告白」こそがこの映画の要だと思う。しかし気づいた時には大切なものは手の中からこぼれ落ちていく。全ては無常で、そして愚かだ。