loomer

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのloomerのレビュー・感想・評価

4.5
「丸わかり!部族侵略」というスコセッシ先生による3時間半の講義。アメリカの人はこの映画どういう気持ちで見るんだ…?きつくない?

3時間半があっという間と聞いていたが本当にそうだった。わたしは映画中はライトが光ってしまうスマートウォッチを外すのだけど、だいたい1、2時間ぐらいで時間を確認したくなるのが今回はそれがなかった。
好むと好まざるとにかかわらず、不穏な気配がずーーーっと続いてテンションがずっと維持されているのが何よりすごい。ロバート・デ・ニーロの怪物演技、ディカプリオの愚鈍だけど嘘のつけなさが憎めない男っぷり(あのへの字!)、寡黙で賢い女性を演じたリリー・グラッドストーンの三人の軸がどっしりと置かれていて、緊迫しているんだけど映画の「良さ」の安定感がすごかった。体幹が強すぎる。

この映画はギャング映画そのもので、利権と金のために人を人とも思わずひたすら支配と略奪が繰り返され血が流れ続けるのがつらい。殺し方も無駄にバリエーションが豊富だ。
劇中の「インディアンの命は犬より軽い」というセリフがとてもショッキングだった。とても面白かったけれど、観終わるとどっと疲れた。たまにはこういう疲れる映画もいい。
それにしても、リドリー・スコット、スティーブン・スピルバーグ、そしてマーティン・スコセッシという巨匠三人の監督の新作が観られる時代、すごいなと思った。
loomer

loomer