K

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのKのレビュー・感想・評価

3.8
1920年代初頭に実際に起こった、ネイティブアメリカン、オセージ族への連続殺人事件を渦中の人間の目から見つめ直しアメリカの黒歴史を暴く。

インディアンの命は犬の命以下だ。奴らがオイルリッチになることなど許せない。そもそも、奴らに富の管理もできるわけなどない。だから白人の私たちが彼らの財産を管理してあげるのだ。いや、管理だけでは物足りない、どうせ彼らが管理もできない富を自分のものにするには、彼らを殺せばいいのだ。どうせ彼らの命は犬の命以下なのだし、この地はインディアンの地ということになっているのだから、我々がここで白人の法で裁かれることなどない。

4月、大地には無数の小さな花が咲き乱れる。5月になるとそれよりも背の高いムラサキツユクサの時期になり、先行する背の低い花たちはそれらの影で枯らされてしまう―――オセージ族は元々北米大陸中部で広大な土地を支配していたが、この地に入植してきた白人によって土地を奪われ保留地に封じ込められてしまう。

しかし、不幸か幸いか、その地で北米最大の油脈が見つかり、賢い指導者によってオセージ族は石油採掘業者から巨額のリース料とロイヤルティを得ることに成功し、その受益権によって彼らはアメリカで最も豊かな人々になった。

しかし、白人は非白人が富を手にすること自体が罪だと信じ、オセージ族の人権を制限する法律を次々に成立させていく。

この偏見こそが、この連続殺人事件の根幹にある。誰がやったか?ではなく、何故こんなことが起こりえたのか?それをしみじみと考えさせられた。

主人公が全く意思のないただのあほ野郎でその魅力の無さが何よりもアメリカのあほさ加減を体現していたのかな。悪党とそれに利用されたごろつきとアホが、人をさんざん傷つけた。アメリカの黒歴史。
K

K