フリーメーソン部屋でお尻をぶたれるシーンis何。
ジェシー・プレモンスが出てきてから、物語のトーンは明らかに変化する。テンポよくスピーディーに進むいつものスコセッシ節から、ズーンと重厚に。長回しも多くなる。206分はさすがに面食らったものの、やはり見終えるとテンポの変化で物語を語ろうとするには必要な分数だろう。最終的にすべての物語をメタに消費するようなアイロニカルな仕掛けが軽やかだった。この真摯に作られた(ように見える)映画すら真実をすべて描いていないし、観客も作り手もオセージの痛みを見通すことは出来ないのだ。
アーネストとモーリーは搾取/被搾取の関係でありながら、同じように歪んでいる夫婦として描かれる。損得勘定と共に一抹の愛情も確かに存在しているので、ラストシーンにはなおさら胸が締め付けられる。うすうすヤバいと思いつつ、乗ったレールからもう降りられず、それが正しい道だと信じ込もうとする。コンコルド効果ここに極まれり。人間はおろかです。
ロビー・ロバートソンの劇伴も素晴らしかった。『パリ、テキサス』におけるライ・クーダーのようなハマり方。