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あいが、そいで、こいのFのネタバレレビュー・内容・結末

あいが、そいで、こい(2018年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

海と空、そして高校3年生の“青さ”がとても美しく魅力的に映っている。

思い出補正なんて言葉もあるが、ふとしたきっかけで学生時代を思い出し、実際には映画で起こるような特別な展開がなくとも、夜中に友達を呼び出して、行く宛もなくただただ歩き、公園で朝方まで語り合った時間だったりという、そういう何でもないと思っていた時間こそが特別だったことに大人になって気づく瞬間が確かにある。

だからこそ、序盤と終盤、そしてシーンの合間合間に主人公が大人になった現代から青春時代を思い出す、という構図になっているのでは思ったが、これが自分的にはしっくりこない。
見た目はある程度仕方がないものの、芝居や雰囲気が学生時代を演じていた役者たちとあまりにも違う為、設定上では理解できるものの、別人にしか見えない。
キャストを変えるなら変えるで、もう少し上手い見せ方があったように思うし、個人的にはそのまま学生時代を演じた役者たち(特に高橋雄祐さん)が大人になった時、どういった芝居をするのかが見てみたかった。
なんて思ってしまうのは、学生パートの役者たちがあまりにもキラキラしていたからかもしれない。

全体的に引きで撮られた映像が印象的で、特に横断歩道を渡るシーンや、主演の高橋雄祐さんと小川あんさんのシーンはずっと見ていられる。見たくなる。
その反動か、寄りで撮られた映像に時折違和感を感じることがあり、特に終盤の中垣内彩加さんのアップなんかは、そのまま引きで、もしくは背中でその表情を想像させてほしかった。

「ゴメン」のかわりに泣いた。
「サヨナラ」のかわりに叫んだ。
この作品にピッタリなキャッチコピーは観終わったあとに再度見ると、最後まで素直になれなかった彼も、彼なりの表現をしていたことを思い出して切なくなる。
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