人と人がともに生きていくこと。慣れ親しんだ土地を移動すること。自然と祖先に対する畏敬の念を心の奥底に秘めて謙虚に生きることー
いつの時代も生きていくのは楽ではないけれど、置かれた状況の中で人間は知恵を絞って、寄り集まって生きてきたことに、時間も空間も移動しながら盆唄を追う、この映画をみて気づかされる。
きっと太古の昔、言葉を話したり、ものを書いたりする前に、まず人は唄を歌い、身体を動かし、物を叩いて音とリズムを奏でていた記憶が、私たちの身体の奥深くに今もインプットされているように思われた。
心を込めて必死に唄い踊る人々の姿を見ているだけで涙が出そうになるし、説得力がある。
だからこそ、もっと余計な演出を削ぎ落として、説明も外して、淡々と人々の姿を映して欲しかったと思う。昔の写真や白黒再現映像、クライマックスのシーンなど、後半は余計だなぁと思ってしまったシーン多々。
また、ハワイの話と、祖先の異動の話と、最後の踊りの共演の話、と要素が多いのに構成にまとまりがなく、どれか一つに絞って深く掘り下げてもいいのに、と思った。
題材がいいだけに、ちょっと残念だった。