このレビューはネタバレを含みます
迫力あるバーンスタインの音楽、複雑なオーケストレーションの響きは映画館で味わう価値あり。
ダンスはジェローム・ロビンスの振り付けを一部踏襲しながら新しいバージョンになっていたが、個人的にはオリジナル版の方に軍配があがった。
ストーリーとしては、ロミジュリがモチーフなので、わずか二日間の出来事というには流石に無理があるだろうという感があるが、随所に人種や、ジェンダー、権力と弱者の構図や貧富の問題が織り込まれつつ、一方で色彩豊かに彩られているので、あっという間に時間が過ぎた。
オリジナル版との違いとしては、若者たちの居場所であるスラム街が地揚げされ、リンカーンセンターや高級マンション建設地に区画整理されるという、居住地域の背景が頻繁に語られていること。彼らを決闘へと追い詰めているのは、実は大人たちの都合なんだという視点が、自分が大人になったからか心に残った。親の愛は受けられず、警察もダンスパーティーの主催者も、彼らを取り締まることはしても、良いように導こうとはしない。物語は悲劇的に幕を閉じるが、この先、生き残った者たちは幸せになれるのだろうかという思いが残った。