フェスティバル/トーキョー18唯一の映像作品。範宙遊泳主宰、山本卓卓の初映画。

元範宙の役者、田中美希恵がダイエットを試みるところを捉えるドキュメントなのだけど、ゆるそうな企画の中に隠された強烈な暴力にとにかくやられた。山本の作品は元々暴力性に敏感だけど、僕が観た中では過去最高のテンションで迫ってくるものがある。男性が女性のパーソナルゾーンへ許可なしに踏み込むこと（が許されていること）の痛みが露悪的なほどに全面化していて、そこにカメラで人を映すことの暴力と暴力的に時間を飛ばす作品構成が絡んでいく。自らの加害者性に対峙させられて、最後にはぐったりしていた。カメラに映ることと演技を問題化してる点で濱口竜介を思わせるものがあるけど（椅子を使ったワークショップ出てくるし）、山本本人が画面に何度も映っているところで別種のなにかが立ち上がっている。そして、唐突に差し出される二つのフィクション（演劇）のリアリティといったら！観た後で何度も記憶を反芻してしまっている。まんまとやられてる。

オーディション審査員で出演してる武谷公雄のニヤつきとごつい指輪に笑った。

フェスティバル/トーキョーにて
一人の人間の変化を見つめるプロジェクト。
.
他者の視点から見た"自己像"と自己から見つめる"自己像"を実際に鑑賞者の私たちが見つめていることに不思議な感覚になった。