すみ

お嬢ちゃんのすみのレビュー・感想・評価

お嬢ちゃん(2018年製作の映画)
4.0
どいつもこいつもくだらない。

芯が強くてまっすぐなように見えて、まだまだ危うくて自立していないみのりを、萩原みのりがこれ以上ないくらいナチュラルに演じてた。名前といえ、新体操のくだりといえ、萩原みのりからみのりは着想を得たのか?と思うほど。
こういう、反骨精神旺盛でどこかやさぐれた意志の強い女の子を、ここまで嫌味なく無理なく演じることができる女優は他にいないのではないか?

いわゆる会話劇なので劇中には2時間通してたくさんの会話が出てくる。
セックスと女の話題しかでてこない男、叔母、おしゃべりな常連、ひねくれた男、いじめをコンテンツとして楽しむ男達、いろんな人がいて、全員にちゃんとリアリティがあって、その人たちの会話を聞いてるだけですごく面白かった。

理恵子は、最初はみのりについて回る感じのおとなしい子なのかと思ったけど、あくまで二人は対等で親友なんだ。
みのりは周りをくだらないと一蹴するけれど、自分自身をちゃんと省みることができるし、筋を通せる。
そこがとても愛らしいなと思ったし、だからこそ、バイト先の人間関係は良好で、親友の理恵子とも関係を築いていけるのだな。

最初から最後まで一貫してあったのはルッキズム。可愛いこと、ブスなこと、でもそんなことすらくだらない。
くだらない、と感じるのは、最低限の幸せを大抵の人間が得ているこの国で、ああだこうだと悩み続けることに対してだろうか。
それとも、年齢は大人になっても中身は大人になりきれない、なあなあで生きている未熟な自分に対する失望の感情なのだろうか。

2時間は長いな〜って思ったけど、あっという間だった。
すみ

すみ