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インソムニアの盆栽のレビュー・感想・評価

インソムニア(2002年製作の映画)
3.5
白夜の地で不眠症はキツい


 ノルウェー版のリメイクであり、クリストファー・ノーラン作品の中ではあまり知名度のない本作。というのもノーランのくせに時を操らなければ、難解でもないシンプルなサスペンス。よく言えば誰でも楽しめるノーランであり、悪く言えばノーラン好きには少し物足りない。それでも眠くなることは一切なく、不眠症のごとく最後まで観れます。

 物語は、アル・パチーノ演じる孤独な刑事の内面の葛藤と、ロビン・ウィリアムズ演じる容疑者の狡猾な心理戦という対照的な二つの軸を中心に展開。ノーラン監督は、登場人物たちの心の奥深くに潜む闇や秘密を見事に描写し、観客を引き込む巧みな手腕を発揮しています。

 映像の鮮やかさと闇に染まった感じも非常に良い。北極圏の日光、そして白夜の薄明かりが織り成す風景は、物語の雰囲気を一層引き立てます。また、演技陣の素晴らしい演技も際立ち、特にアル・パチーノとロビン・ウィリアムズの相互の緊張感漂う対決は、観る者の心を鷲掴み。やはり大御所の存在感は違います。

 「ノーラン作品が観たい!」と思って観る映画ではありませんが、人間味のあるサスペンス映画が観たい時には適している一本でした。

2024.3.25 初鑑賞
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