一見シンプルなテーマを扱った作品かと思いきや主人公を中心に夢、家族、友情、そして人間と馬の異種族間のつながりなどを偏ることなく描いていて、それを洗練された表現でアメリカの美しい自然風景とともに映画に仕立て上げているおよそ欠点が見つからない作品。けがや傷の描写が異様に生々しかったり、現代のカウボーイの生活だったりと細部へのこだわりも感じられたいい映画でした。
個人的には劇中の馬の調教シーンが気に入っています。割と長い尺を使って延々と暴れ馬を調教していくだけですが、そこでの振る舞いでいかに馬という動物が身体的ポテンシャルを秘めているのかがじわじわと伝わってきます。下手なことをすれば後ろ足で蹴っ飛ばされるんじゃないかと馬の一挙手一投足にヒヤヒヤしながら見てました。ちゃんと馬も演技している映画にハズレはないですから。
主人公の顔がクリスチャン・ベールに似ているなと思ってみてましたが、この人は俳優ではなくマジのカウボーイの方なんですね。それだけじゃなくほかの人たちも演技経験がないマジの地元の人らしいですね。『15時17分、パリ行き』といい海外の素人演技うますぎだろ。
