ザ・ライダーの作品情報・感想・評価・動画配信

「ザ・ライダー」に投稿された感想・評価

多くを語らないが気持ちが伝わってくる静謐なるカウボーイのストーリー。
一

一の感想・評価

4.5
大怪我を負ったカウボーイが新たなアイデンティティや生きる意味を見いだすまでの物語

広大な美しい自然をバックに、夢を諦めざるを得なくなった男の、出口の見つからない葛藤を淡々と映し出す
皮肉な事に、小さな頃から馬に全てを捧げてきた生活が、その馬により変わってしまい、抜け殻のようになってしまった主人公を静かに追う演出が幾度となく涙を誘う

自分よりも重い後遺症を持つ友人や自閉症気味の妹を通し、人の温かみを感じられる
邪魔になるどころか、彼らもしっかりと主人公の支えとなっているのがとても良い

実話を基にした作品でありながら、モデルとなった主人公本人はもちろんのこと、その周りを取り巻く家族や仲間などと、ほとんどの登場人物は実際の人物が演じており、そこから生まれる桁違いのリアリティが物静かな物語のアクセントとなる
しかも演技経験ゼロというから驚き

特に主演のブレイディ・ジャンドローさん
クリス・プラットそっくりで、文字通り俳優顔負けのルックスな上に、素人とは思えない繊細な表情ひとつひとつの見事な演技に何度も胸を打たれる
暴れる馬に乗るシーンも超リアルだし、葛藤し涙するシーンなんかは恐らく様々な感情を実際に思い出したのだろう…

調教のシーンで馬と人間の心が通じた瞬間
本作で観られる馬と人間との友情は、本物だからこそなし得た奇跡ともいえる瞬間も収められている

とにかく配信スルーされたのが信じられないクオリティ
重めの内容でも、前を向いて進んでいく主人公のひたむきな姿勢に、汚れきった心が少し洗われた気がする

ストーリーにぴったりな重厚な音楽が強く印象に残る
過度に感情を煽るような演出はなく、物静かながら心に沁み渡る大傑作

この監督がエタールズ撮るのか〜
スゲー楽しみになってきた🔥

[Rotten Tomatoes 🍅97% 🍿83%]
[IMDb 7.4 / Metascore 92 / Letterboxd 3.9]

2020 自宅鑑賞 No.391 Netflix
にこぺ

にこぺの感想・評価

4.5
なんというか、静かに強力な衝撃をくらった感じ。
ロデオなんて、やる人の気が知れない!と思っていた私は反省します。馬と共に生まれ育ち、ロデオは身近なものなのだよね。

ブレイディはロデオで大きな怪我をして、生活がガラリと変わる。馬が好きなのは眼差しから全身から溢れてます。調教シーンも素晴らしい。
かつてのヒーロー、レインとのやりとりも厳しい現実を目の当たりに。静かな映画ではありましたが、ブレイディの悲鳴が聴こえてきて仕方がなかった。そう、人間は生き続けるのですよ。

後で知ったけど、主役もお父さんも妹もみんな本人だというから驚き。素人がやるとかえって嘘くさくなるのに、それが全く無かった。そして、なんと監督が中国人。ワンダホーだよ!
YukiHomma

YukiHommaの感想・評価

4.5
夢見る人全てにオススメしたい映画。

生きがいを無くしてしまうということがどれほど辛いことなのか、セリフではなく表情で伝わってくる。
絶望とか不安とか、ロデオ以上の生きがいを見つけられるのか。
そしてラストの彼の選択は…。

クレジットを見てまさかの本人たちが本人の演技をしていることに驚きを通り越してなおさら心に残った。
おそらく出演者たちは演技が素人のはずなのに監督の人を作り上げる力に脱帽するしかない。
「あと一度落馬すればお前は死ぬより辛い目に遭う!」「上等だぜ!ロデオで勝負だ!」なんて言い切れたらどんなに良いか。現実で待つのは酷い後遺症と薬物汚染、馬と関係のないアルバイトばかりだ。

馬は美しい。草原を力強く駆ける。馬の筋肉は雄大で馬の瞳はやさしい。馬は美しい。

頭部を損傷し、馬に乗れば吐き、片腕は使い物にならない。それでもロデオを続けたい。頭ではこんな生活をやめるべきだとわかっている。それでも意思に反して手綱を手放さない左腕という「呪い」のなんと悲しいことか。

馬は足を怪我したら死ぬしかない。人間はどうだろうか。若者はカウボーイリハビリ施設を思い浮かべる。

人間はどうするべきか。馬は馬として存在しているだけで美しい。人間は……彼は悩み続ける。


これは傑作ですよ!
nutaki

nutakiの感想・評価

4.0
是非観て欲しいと老若男女全てに勧めたい作品。アメリカではかなり評価され、オバマ前大統領も気に入ったという。日本ではスルーされたけど今こうして動画配信サービスで知り、観れて嬉しい。
ジャンルは西部劇となっているが、ロデオに乗るカウボーイの生活を映す地味な映画。『15時17分、パリ行き』と同じく、本人が演じている。
主人公ブレイディとその父ティム、妹リリーを含めて周囲の人々は、本人たちが実名のまま演じている(一家の名字は変えてある)とても素人とは思えない。知らない俳優だなあと思って観ていて観終わってから知ったので、尚更驚いたよ。特に妹は自閉症であるがその演技力に驚く。演技経験ゼロである彼らがこんなにリアルに演じれたのは、確かな腕の監督の力に依るかもしれない。その監督はクロエ・ジャオ。中国出身の女性だ。長編は2作目。パリ行きの監督であるイーストウッドには、培った経験も名声も息の合った長い付き合いのスタッフも居るだろうから納得できるが、この監督が素人を使ってこんなにも心に刺さる作品を作れるなんて!アッパレだ。
生まれた時から馬と家族のように生活して来た主人公ブレイディは、ロデオで馬に振り落とされ、怪我は良くなったが後遺症が残ってしまう。回復を願って馬の調教師として働くが‥。観ていて切ない。切ない。父と妹の暮らしも貧しく、スーパーで働いたりするが彼の頭の中は馬の事しかないようだ。ブルライダーで牛から振り落とされ大怪我をし入院中のレイン・スコット(本人)は憧れの人だった。彼を頻繁に見舞い励ます。その表情がまたリアルで泣かせる。本人だもんね、感情もこみ上げるよね。
怪我をして抜け殻のようになった青年を静かに追うのは地味で退屈ではあるけれど、何とも言えない空気感と、主人公への感情移入で目を離せない。
ブレイディさん、なかなかのイケメンだ。俳優と言っても納得のスマートな方。周囲の本人たちも素敵な人ばかり。演技も自然で違和感はない。
怪我によって人生を見つめ直す主人公。家族の絆、馬への愛情。そして自分のこれから。ラストがまた素晴らしい!
文句なしの良作!
当たり前が崩れる時、その人がどう変われるか。
これは誰にでも当てはまることであり、個人として真価が問われる。
やはり私は「希望の修正」をすることが、前に進むことであり、人生を豊かにすることでもあると思う。
簡単に進路を諦めることはできないかもしれないが、固執することで身を滅ぼすこともある。
個人の問題だけでなく、カウボーイという生き方、またはアメリカという国そのものの閉塞感を見事に描き出している。
アカデミー賞にノミネートされなかったことが不思議でならない。
俳優が馬の調教を習うのか、馬の調教師が演じてみせるのか……いずれにせよ「初めて見たこのイケメンの俳優、役作り相当頑張ったな」と信じて疑わなかったこと、そして主要キャストたちの苗字が揃いも揃ってジャンドローさんであることにエンドロールで初めて気が付き「ウソやろ…」となったことを報告しておく。

役者たちのあまりに自然すぎる熱演だけではなく、アメリカの大地、そして美しい馬たちもまた、この作品をいっそう魅力的なものにしている要因である……と言ってはみるけどやっぱ、このクオリティで役者が素人ってちょっと凄すぎやしないかな。
ビリー・ボブソーントンの『すべての美しい馬』という西部野郎の"お仕事映画"を観ていたのですんなりだったが、これはずっと硬派な話だった。頭に大怪我を負ってもそれでもロデオボーイから足を洗えない不器用な男の静かな闘い。辰吉丈一郎やカズ、武豊なんかの生き方にも被る。体操の内村航平選手もこのテの人だろう。凡人の私には理解し難い世界観だけど、馬の調教のシーンはなんだかカッコ良く胸が打たれる。
Ma

Maの感想・評価

3.8
台詞が少ないのに全員の心情がこんなに伝わってくるのがシンプルにすごい。

ガスに乗って走るシーン、とアポロに乗って走るシーン、主人公にとっては当にそれ、ただそれだけ、音楽と背景と相まって素晴らしく良いシーンだった。

最後、現実を受け入れて前に進むって言う決断をするところ、あれ、父親があんなに反対してたのに最終的には'死ぬのも覚悟で本当にやりたいなら見守る'みたいなスタンスをとったのを見たからこそなんだろうなと思うとやっぱり人を想う力って凄いなあ、と思う。

馬の脚の怪我がどれだけ致命傷なのかを知っていたのでアポロが怪我するところは辛かった。馬の脚の怪我と、自分が大怪我してもうロデオができなくて、つまり大袈裟に言えば怪我をした馬と同じく死を待つ以外何もできないっていう状況を合わせてるところがすごいしんどかった。本人にとってはそれだけであったモノを奪われるって本当に辛かっただろうな…

夜明け前に友人たちと火を焚いて語らってるところ、ブロークバックマウンテンを思い出してまた見たくなったなあ

エンドロールで全員本人役なの知ってびっくりした!役者さん、馬の調教の練習までしたのか、、?と思ってた(笑)
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