いやー、圧倒された。
ロデオに青春をかけるカーボウイの青年が主人公。頭に重傷を負い、一命はとりとめたが、生きがいのロデオはもうできない。それは彼にとって死に等しい宣告だった。脚を怪我して安楽死した馬に、彼は自分を重ねる。馬なら死ねる。では人間は？
人生の意味を失った青年。前向きに生きようとしながら、でもそれができない、青年の苦悩が痛いほど伝わってくる。人生はまだまだ長いし、ほかにも楽しいことがあるよ、と他人は簡単にいうけれど、ロデオこそが彼の真の居場所なのだ。
ダーレン・アルロフスキー監督の『レスラー』を思い出した人も多いのではないだろうか。あれも、プロレスという生きがいを取り上げられてもがき苦しむ男の話だった（そして、つまらなそうに働く転職先は同じスーパー！）。
最初から最後まで圧倒された。飾らない素朴な作りなのだけど、ぐいぐい引き込まれていく。
なお、調べたところ、出演者はほとんどが、監督がリサーチ中に偶然に出会った人々で、俳優でないのだそう。なんと主人公は本当に頭に怪我をしたロデオボーイなのだとか。すごすぎて、すごすぎるとしか言えないよ！
