みみしゃ

ノベンバーのみみしゃのレビュー・感想・評価

ノベンバー(2017年製作の映画)
3.6
「嫌な子だね着飾ったりして」
「美しいじゃないか」
「あんたは美しさで腹が満たせるのかい?」

「彼らは何を?」
「聖餅を銃弾にするんですよ
 狩が上手くいくように
 どんな獲物でも仕留める事ができます
 キリストが撃ち抜いてくれるから」
「罪深い行いだわ」

「この土地はドイツ人が勝手に
 支配し始めたに過ぎない
 この土地のものは俺たちエストニア人のものだ
 この下着もな」
「頼みがある
 娘の部屋に忍び込みたい」
「妙な頼みだな なぜ?」
「娘の部屋だって俺たちの土地にある」
「そうだな」
「ドイツ人にこの自由の権利は奪えない」

「ハンスの心は永遠に変わらないわ」
「女を殺さなかったのかい?」
「そんなことできないわ
 その悲しみでハンスが死んだら何の意味も無い」
「ハンスが悲しみで死ぬ?
 私には想像もできないね」
「ええ、でもそんな彼を愛してるの」

「彼女をここへ連れてきてくれ」
「人を連れてくることはできません
 力不足をお詫びします
 魅惑的な方なのですか?」
「魅惑的と言うより、可愛らしい」
「わかります
 大理石のような白い肌
 ビロードのような髪
 水を湛えた泉のような深い瞳
 その水を口にすると全てを求めてしまう」
「どこでそんな言葉を知った?」
「私は時に川の水として流れ
 時に噴水から湧き上がり
 雨として大地に降り注いだ
 そして今ご主人のおかげで
 ついに話せるようになったのです」

「色恋ごときで人間が壊れるものか」
「あんたが他の女を口説こうもんなら
 私は毒ガエルを食べるつもりだったさ」

「なんで祭壇の金を盗んだんだい」
「神聖だからさ」
「酒場の支払いに使ったとしても
 自分の懐に帰ってくるのさ」
「金がどうやって戻るんだい
 自分で歩くのかい?」
「イエスが運んでくれるのさ」

「あんたは悪魔も疫病も騙してばかり
 魂を渡す約束はちっとも守らない」
「俺には魂がない」

「これはあんたにあげるよ
 嫁入りの時に持って行くんだ」
「そうね
 まさに花嫁の憧れだわ」
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