ブラジルの治安改善のため現地潜入している主人公は、腐り切った軍を見限り
17年の従軍活動の間に退役していった仲間と共に、長年追っていたマフィアのアジトに乗り込むことを決意
援軍もない
医療班もいない
信じられるのは5人の仲間だけ
国旗を掲げた誇れる仕事ではない
殺人と強奪の中に正義と誇りを見出そうとする男たちの奮闘が描かれる
主人公がかつての仲間に声を掛けて
1人ずつ作戦に参加していくところが良い
漫画の「銀牙」や「ウィード」を感じる...
退役後、なんとか日常生活を送っている30代後半から40代半ばくらいの男たち
国のために戦争に参加したのに
正当に評価されず満足な給金ももらえない
人生の大半、胸に掲げ続けた「国のため」「国民のため」「大義のため」そのすべてを捨て
家族のため生活のため悪人から金を奪う道を選ぶ
戦闘シーンは派手さはないけど
淡々と潜入していくかっこよさや
トラブルに遭って対処していくハラハラ感がある
妻と離婚して思春期の娘とギクシャクしながらも、その生活費の全てを担っている仲間のうちの1人であるトムは
作戦に参加するのをすごく嫌がるが偵察にのみ参加するという条件で参加
久しぶりの作戦行動で、退役後の生活に満足していると自分に言い聞かせながら生きていたことに気付く
信頼できる仲間と仕事ができる喜び...
『自分』が『自分』のままで存在している実感
自分の能力が作戦の要で、みんなが頼りにしてくれること
それを実感して本作戦に参加表明するとき
トムは涙ぐんでた
この気持ちすごくよく分かる
正社員で働いていて、妊娠で辞めて
家で子育て、買い物だけの日々
関わるのは子どもと近所の人だけ
そんな日々を送っていると
社会から断絶されて自分としての『個』を失って子どもの『母』としてしか社会に認識してもらえなくなる
トムが同じ感情を抱いたかは分からないけど
近しいものがあったのでは、と思う
そのトムが欲をかいて
たくさんの金を持ち帰ろうとするのも
現場打破したかった気持ちが強かったのかもしれない
昔は正直者で主人公や仲間からも信頼の厚い人間だったのに
『個』を奪われた日常生活を経て
誰よりも早く引き金をひく男になってしまった
やるせないよ
あらゆるところで男たちの感情の揺れ動きと
衝突が観られる
ラストは「かっこいい(かっこつけてる)男!」感満載だけどそれが似合うキャストだし良かった
続編というか後日談のショートストーリーを作ってほしい頼む皆救われてくれ