櫻イミト

フットライト・パレードの櫻イミトのレビュー・感想・評価

フットライト・パレード(1933年製作の映画)
4.0
ミュージカル映画に革命をもたらした「四十二番街」(1933)のスタッフによる同年の次作で、さらに上回る大ヒットを呼んだ作品。主演はギャング映画のスター、ジェームズ・キャグニー。本作内のナンバー「上海リル」は日本でもカバーされヒットした。

演出家のケント(ジェームズ・キャグニー)はブロードウェイ・ミュージカルを諦め、映画館で上映前に上演されるプロローグ舞台の演出に乗り出す。アメリカ中の映画館から依頼が次々と舞い込むが、身近にスパイがいるらしくアイデアをライバルに盗まれ仕事はハードになっていく。そんな中、映画館の大チェーン会社から大きな契約話が舞い込んだ。ただしテストとして一晩に3つの劇場で異なる3つのプロローグを上演し社長を満足させなければならない。ケントたちの挑戦が始まった。。。

最近ファンになったジェームズ・キャグニー主演×ミュージカル演出の天才バスビー・バークレイということで期待して鑑賞。これが期待を上回る面白さだった。前半のバックステージパートはギャグニーの活躍で強化。前作「四十二番街」に引き続きヒロインを務めるルビー・キーラーの、さえない事務員→レビュー・スターへの変身も面白い。

そしてバークレイ演出の超絶レビューシーンが3連発。ホテルが舞台のハネムーン・レビュー、300名の泳ぎ手による水中レビュー、上海が舞台の行進レビューと、どのシーンにも驚きがあり目が離せない。そこに“全てのレビューを社長が満足するかどうか”と“主役の恋の行方”という二本立てゴールを設定し、レビューシーンと物語を上手くシンクロさせる構成も見事。最後にギャグニーが思わぬ活躍を見せる落としどころまで隙の無い、大満足の一本だった。

バークレイの魔術的レビュー演出は本作以降もエスカレートしていくらしいので、引き続き追いかけてみたい。

※ギャグニーは元々ヴォードヴィルやブロードウェイに出演していて本作の主役を自らワーナーに懇願、映画でダンスを披露する初めての作品となった。
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