「殺されることは怖くなかったが、腕や足を失うのが恐しかった」
「たまたま隣にいる男がいきなり親友になる」
「上官が塹壕に残り、戻った者は撃つといった」
「悪臭や転がった死体はいつしか日常になった。死体の周りにはネズミが出る。太っているのは自明だった」
「突撃前の待機時間は人生で最も長く、同時に短く感じた。あれほど真剣に何かを考えたことはない」
「地獄のような光景は平静さを失わさせた」
「誰かが突然泣き叫びだし、将校が騒いでいるやつを撃てと命じた」
「塹壕を越えると恐怖は消えた。走りも叫びもせず、ただ黙って進んだ」
「ある兵士は左腕と左脚を吹き飛ばされ、左目が飛び出た状態で祖母の名を呼んでいた。血まみれの目玉が脈打っていた。だから撃った。撃つしかなかったんだ。楽にしてあげたかった」
歴史の教科書や時折資料写真でしか見たことがなく、遠い昔話のように感じていた第一次世界大戦。
当時の映像をカラーで観せられると、これは遠い歴史の話ではなく、明らかに現在と繋がる現実世界の話だと気付かされ、愕然とする。
さらに当時の兵士たちの生々しい証言の数々に圧倒され、帰還した兵士達に対する世間の無関心、時には忌み嫌う様子に、戦争とは何なんだろうと虚しさを覚える。
戦場で正気を保つためのユーモアが哀しい。笑顔の兵士の写真が、次のシーンで無惨な遺体となっている衝撃。
チャップリン映画「担え銃」でも出てきた塹壕が、こんな生地獄だったとは。
今こそ観るべき映画。