彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドの作品情報・感想・評価・動画配信

「彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド」に投稿された感想・評価

『ロードオブザリング』のピーター・ジャクソン監督が第一次世界大戦の実際の映像を編集して作った作品。
いわば、先日見た『1917』の実際の映像。当時の映像をカラーにし、抜け落ちたカットを新たに作り出して入れる事で違和感なく、鮮明に現代に蘇らせていた。歴史学者などの証言は入れず、戦地に行った人の声だけを入れていた点も特徴的な作品だった。

戦争前の若者の高揚感がとても新鮮だった。キャンプに行くような浮かれ方で志願所に行っていた。戦場のちょっとした小話も一つ一つがリアルで面白い。

前線の映像では実際の死体が何度も写り、かなりショッキングだった。そこに戦地に行った人の生々しい話が沢山加わる。教科書には載っていない戦争の”前線”で戦った人間だけが理解できる話、映像の数々は生の戦争を教えてくれる。
ドイツ軍の捕虜と仲良くしたり、遊んだりする映像やほとんどが良い人達だったと話すイギリス兵が話すのも意外だった。

もっとも驚いた事は帰還兵への世間の風当たりが強かった事。戦争に全く関心のない市民が大勢国にいたのが衝撃的だった。
職がない帰還兵が街に溢れている映像と本人達の悲しげな声が事実を物語っていた。 「戦争に意味なんてない」当人達が語る説得力は異常。 ・

『1917』とセットで見るとより楽しめる。服装や泥沼の戦場がまんま登場する。カラー+カット編集された実際の戦場の映像を見る事ができる貴重な体験だった。
backpacker

backpackerの感想・評価

4.0
最初の配信時は放置し、劇場公開するも見に行けず、そのままズルズルコロナ禍に突入し気を逸していた本作、やっと鑑賞。

本作は、イギリスにて第一次世界大戦(以下『WWⅠ』)の記録を残すために設立された〈帝国戦争博物館〉に保存されていたWWⅠ当時の映像を使用・編集し、当時の従軍経験者の200人インタビュー(内使用されたのは120人)と、フィルムに映っていた兵士たちの会話を読唇術にて再現した音声を付加。更に、様々な戦場風刺画やイラスト、多様な効果音、白黒フィルムを修復したうえでカラー化……といった作業が施され完成した作品です。

約100分の作品に使用された映像含め、合計100時間もの膨大な映像資料の修復をしているそうなので、スタッフのご苦労が偲ばれますが、そのかいのある、素晴らしい映像作品となっております。
当時まだ10代の兵士達が多くいるなかで、彼らがどのようにして兵役を希望し、訓練に挑み、平和な内地から地獄の戦地へ赴いたのか。
初めての大規模近代戦がもたらした、塹壕戦や毒ガス・戦車等の最新兵器の恐怖、日常と非日常のバランス、ドイツ兵捕虜との思い出……。
市井に暮らす庶民の若者が、あれよあれよと兵士になって、息つく間もなく常識の埒外な最前線へと送られる……。それら全てが庶民目線で描かれていくことで、当時の心情や個々の息遣いまで彷彿とさせるようなリアリティを醸成していおり、大変に親しみの湧くドキュメンタリーとなっています。

もちろんそれと同時に、戦争は嫌だ、戦争は最悪だ、戦争なんて二度とやるもんじゃない、という反戦のメッセージは直接間接どちらの形でも随所に登場します。
本当に、戦争なんてやるもんじゃありませんね。フィクションだけで十分です。
sosako

sosakoの感想・評価

4.0
イギリスの退役軍人のリアルな証言とカラー化した当時の映像や画像で構成されたドキュメンタリー映画。

14歳や15歳ほどの少年が志願したり、終戦後の退役軍人への風当たりがキツかった事に驚いた。

この映像の中で、カメラの前では笑顔な兵士たちが印象的だった。
第一次世界大戦から100年以上が経過した現在。膨大な数の当時の映像を厳選し、可能な限り修復してカラー化。実際に戦争に参加した元兵士たちのインタビュー音源を元にして、戦場での様子を表したドキュメンタリー映画。

監督は「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ、「ホビット」シリーズの名匠ピーター・ジャクソン。彼の祖父も第一次世界大戦に従軍していた事もあり、監督と製作を担当した本作。史実を映し出した内容でありながら、彼の他の作品と同様に映画としての見せ方も冴え渡っていたと感じました。

最初は第一次世界大戦の概要から始まり、イギリスでの若者たちが軍に入るくだりに続きます。そこまではモノクロ。そして戦場に入ってからカラー映像に切り替わり、その見せ方のメリハリが巧い。

戦場の映像は100年前とは思えないくらい鮮明に修復されていて、生々しさが伝わってきます。インタビューも合わせるとその時の兵士たちの気持ちも乗り移ってくるかのよう。その辺りに転がる死体も本物。損傷が激しく腐乱して虫やネズミが沸く描写もしっかりと捉えられていてまさしく地獄絵図。

自分の隣にいる仲間がいきなり命を落とす瞬間を目撃したり、自らも腕を撃たれたけれど最初は衝撃が走っただけでよく分からなかった。そんな当事者たちの話は、戦争映画の描写よりもリアルさが感じられました。

塹壕の映像を見ていると、最近の映画「1917 命をかけた伝令」はかなり精巧に再現していたんだなと改めて思うほど。

大戦が終わり、帰還兵たちを故郷で待ち受けていたのは露骨な差別。社会への復帰に不安を感じる人、平和な生活に違和感を覚える人、こういった描写も戦争は戦場だけじゃないと感じます。

この戦争が終わっても20年後には第二次世界大戦が起こるという現実。繰り返される悲劇。戦争の無い今の世の中の有り難さを痛感させてくれる作品でした。
wisteria

wisteriaの感想・評価

4.8
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでお馴染みピーター・ジャクソン監督による第一次世界大戦のドキュメンタリー作品。というか、帝国戦争博物館とBBCに保存されていて、その多くは未公開だった貴重な映像と音声資料を基に編集した、メタドキュメンタリーとでも言うべきものになっている。

この作品の特長は膨大な量に及んだという原資料映像を精査・ブラッシュアップし、当時若者だった退役軍人達の語りに乗せ、ヴィヴィッドに着色した映像と読唇術なども駆使した音声で提示しているところにある。戦争ドキュメンタリーによくある説明的なナレーションを廃し、彼らの記憶の中の、しかも集合的記憶の中の戦争を再現するように。

実際、戦争前の英国での白黒映像から、戦地のあの悪名高い第一次世界大戦の塹壕を舞台にしたカラー映像に画面のサイズと共に切り替わる瞬間のギャップの生々しさは想像以上だった。映し出される戦地のリアル、そこには卒倒するほどに不衛生な軍隊生活、飛び交う砲弾や衝撃で捲れ上がる土塊、そんな中でも時おり垣間見える兵士達の不意の笑顔、敵国ドイツ兵との交流、さらには戦場の本当の遺体までも含まれている。

ただそれと同時に個人的に情けなくも感じてしまったのは、このインパクトの強い映像も10分20分30分と浴び続けていると徐々に感覚が麻痺してくるというか慣れてきてしまうことだった。どのような残酷で愚かしいことにも慣れてしまえる人間の反省の無さと繰り返される戦争の歴史について思いを巡らせる。なにしろここから20年もすれば人類はまたぞろ例の戦争に突入していくことになるのだから。。

ピーター・ジャクソン監督はこの後先日Disney+で公開されたビートルズ解散直前期のやはりメタドキュメンタリー的性格('a documentary about a documentary'と本人も言及している)を持つ"The Beatles: Get Back"を撮ることになる。実は今回本作品を観るのはこのビートルズ映画のPart2を見終わり、例のルーフトップコンサートに入るPart3との間で未見の本作の存在が気になったからだった。ルーフトップが終わってしまうのが惜しい気がするというのもあるけども(笑)

原題は"They shall not grow old"。これはLaurence Binyonの頌歌"For the Fallen"の中の一節'They shall grow not old, as we that are left grow old'から来ている。邦題の『彼らは生きていた』は原題を逆から言っているような感じだけど正直謎。。配信サービスではこの邦題はなくなり『ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド』となっている。
ロードオブザリングのピーター・ジャクソン監督による戦争ドキュメンタリー。

技術革新による高解像度な映像と生存者の証言が戦場のリアルを伝えている。レジャーにでも行くように志願した若者が多くいたことや、ドイツ兵捕虜とも友情や共感を抱いて生活していた事などは本作でしか知り得ない真実。

また、帰還兵に対する風当たりが厳しいうえ、戦争に全く無関心な国民がいるというのも意外な視点。
ラストシーンの「君、これまでどこに行ってんだ?」は切ない。
mochiz

mochizの感想・評価

4.7
まずはとにかく、修復・着色・読唇術による音声の追加がされたという映像にすごくすごくびっくりした!
こんなにもリアルに感じられるとは、驚異的な効果だ。そして人の感覚って不思議だ、とも思った。

モノクロ映像からカラーになったときぎょっとしたのもつかの間、慣れてくるとカメラを向けられてはにかむシャイな兵士達(みんな笑っている。そして歯が悪い)が"昔の人"から身近な若者になり、現時代のドキュメンタリーを見ているような感覚になる。これがピーター・ジャクソンが狙った「没入感」なんだろう。
合わせてずっと流される生存者のインタビューは、最初は意外なほど陽気にはじまり、だんだんと凄惨な内容になっていく。彼らは戦争を正当化なんかできないと語る。
そして終戦をむかえて元の古い記録映像に戻ったとたんに、また"昔のこと"になった。これはWW1だったんだとはっとする。
"「長いことどこに行ってたんだ」と言われて腹がたったとよ"というエピソードで幕を下ろす。


ヒロシマナガサキの映像もこの手法うと良いと思った。
ピット

ピットの感想・評価

4.0
戦争についてまたまた考えさせられた。

始まりは兵士として戦争に参加する気持ちそれを美化する社会の雰囲気。国を守ろうとする思いに駆られる若者たち。
戦争の悲惨さ。死に対する恐怖心。周りの人間が死んでいく事に対する死に対する麻痺。敵と分かり合える気持ち。ただただ生きているということに対しての価値観。戦争が終わって社会が彼らのことなど受け入れていない、誰も無関心、話すらもしてこない・・・虚無感、空虚感。

沖縄のひめゆりの塔に行ったことがある。
語りべのおばあちゃんが実際に戦場で思い出したくもない経験を語ってくれた。内臓が腐り始め口からウジがわいてきている来ている兵隊さんに水すら満足に与えられなかった。友達が横で撃たれ倒れたのに助けるどころじゃない逃げるので精いっぱい、助けるという気持ちはその場になると考えすらも浮かばない。
涙を流しながらて語ってくれました。
そして最後に言ました。
「戦争。殺し合い。何の意味も持たない。悲惨な思いをするだけ。皆さんは分からないかもしれませんが絶対に繰り返してはいけない。あんな悲惨なこと。無意味なこと」
いまでも忘れられない。
劇中で同じことが語られていた。
なぜ、忘れてしまうのか人間は・・・
所詮動物、本能だから?
理性があるから、学んで賢くなるから、人は人ではないのか?

似たような作品はあるにはあったが、とくに最後の虚無感、空虚感。いったい何のために命を差し出そうとしていたのか?当事者の実際の言葉として、ここに触れている作品は私の中では記憶がない。
ベトナム戦争の帰還兵を描いた「ランボー」もそうだったが、そういうことか、戦争に行って身を捧げる思いをしたのに国に戻れば仕事ない感謝も尊敬もない。全ての戦争、国がそうだとは思わないが・・・
そんなもんなんだ・・・
とても勉強になりました。

この作品を見ている途中に「ザ・パシフィック」を思い浮かべた。
アメリカのTVドラマ「ザ・パシフィック」。同じ構成だが、映像を見る限りこの作品「彼らは 生きていた」の後に作られたイメージを持ったが8年も前に作られていた。
生き残ったおじいちゃんたちのインタビューなり感想なりを交えて映像を見せてゆく(こちらは作り物)。ザ・パシフィックの映像はプライベートライアンさながらのCGを駆使したもの。トムハンクスが総指揮をしているなど見どころ満載。CGが凄すぎてエグイのなんの・・・(笑)
この作品「彼らは生きていた」は実際の映像をデジタルリマスターしている。最初の出だしは白黒画像、画質も動きも最悪なんだが、途中から画像処理をしたものに突然変わる。ちょっと驚いた。観おわってから考えると上手い演出。戦場に行く前とこれから本当の意味で戦慄を体験する時間に変わるときに画質が変わる。上手い!(笑)
それでも今日の高画質映像と比べれば比較するれば酷いものなんだがその時は初めて見分けのつかないCGを見たくらいのちょっとした衝撃はあった。

エンドロールに流れてくる曲・・・
大脱走の大脱走マーチ、戦場にかける橋のクワイ川マーチ、みたいに明るくて清々しく軽快な曲だが・・・
実際の悲惨さを見せられた後に聴くとその軽快な歌声がなんとも・・・
余計に悲しく感慨深くなってしまった。
Aix

Aixの感想・評価

3.7
ロードオブザリングやラブリーボーンで知られるピータージャクソンのドキュメンタリー映画。第一次世界大戦の記録映像をカラーにした作品。

今作は他の戦争映画やドキュメンタリーとは一線を画しています。ドキュメンタリーも監督の思想や編集によってかなり嘘っぽい仕上がりになることはありますが、今作はほとんど全てがありままの現実を映していたし、カラーの映像と、肉声のインタビューにより強いリアリティがありました。プライベートライアンとかハクソーリッジみたいなお涙頂戴の英雄戦争映画というよりは、炎628、サウルの息子のような本物感に包まれている作品で、兵士たちの日常を垣間見ることが出来ます。また、兵士たちのその後の姿を映していなかったのも今作の大きなポイントです。インタビューの肉声だけを使ったのは、完全に成功と言えるでしょう。

多くを学ぶことが出来る素晴らしいドキュメンタリー映画でした。とてもオススメです。1917とセットで鑑賞するのも良いかもしれません。
カラーになることによって、より現実味が感じられる、これは今後教材にしたほうがいい
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