Jermaine7

彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドのJermaine7のレビュー・感想・評価

4.3
100年以上も前に、たくさんの若者が死んだ、なのに映像に色がつき生き生きと蘇る、不思議な体験をさせてくれる映画です。

故郷に残してきた妻に手紙を書くシーンも、敵兵との友情も、立ち寄った町で恋に落ちるシーンもありません。
イケメンで頭脳明晰な小隊長も、ちょっと性格は悪いけどお調子者で頼りなる兵士も、敬虔なクリスチャンのスナイパーも、気の弱い新兵も出てきません。

出てくるのは1914年を駆け抜けた、イギリスの若者達。
黒ずんだ肌に隙間の空いた虫歯だらけの汚れた歯で笑顔を振りまく本物の兵士です。
そんな彼らの生きた証がカラーでスクリーンに蘇ります。

バトルシーンはハリウッド映画の方が迫力があるかもしれません。
だだし、オーディションで選ばれた俳優が演じる戦死よりも数倍、どこから来て何を背負っていてどんな性格かもわからないイギリスの若者が5秒後には戦死している、そんな現実の方がよほど胸に刺さるものがあります。
Jermaine7

Jermaine7