白ご飯

Fukushima 50の白ご飯のレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
3.4
書いては消して
書いては消して

レビューを書くことにこんな時間がかかったのは初めてだ


上映当時
この映画のポスターデザインや宣伝の仕方など好みではなく

こういった邦画自体が好きではないということもあって観ないと思っていたが

偶然ではあったが地上波で鑑賞しました

僕は後味が長く続く映画は嫌いじゃない
例え後口が悪く、それが胸糞映画だったとしてもだ


メタファーについて考えたり
描写されなかった映されなかった側のことなど考えることもその映画の余韻を楽しむ行為として大好きだ

テロ行為と同一線上で話されるべき事ではないが

アメリカが描く911を題材にした映画は軒並み好きになれなかった

どうしても
片側側面の映画なんて観る意味などマインドコントロールにしかなっていないと思ってしまうからだ


本作は
ものすごく丁寧に丁寧に作られている部分が目立ってはいました

見る者に過度のPTSDを与えないように

地震災害面の演出は本当に必要最小限でしか見せず

むしろ
この見せつけられた地獄絵図などより

もっと想像を絶する環境の中で戦い抜いたことは容易に想像が出来る

バックグラウンドになる人々の物語も本当に邦画としては珍しいぐらいに最小限に留め

ウェットにさせ過ぎない姿勢が何処に光を当てたかったのかもわかりやすかったです


それ以上に
本作に出ていた役者さん達の職人さんとしての本気を見させていただき本当に尊敬しました

物語の性質上

ドンドン
顔は汚くなり髪もベトベトになり
マスクでほぼ目以外見えなくなるというのにこの演技

端役などいないと言っていいこの映画に映る人達の本気の演技は邦画の持つ可能性を見せてもらいました

ただ
報道などで既に知っていたことも多いのに最後まで集中が途切れず見れたのですが

やはり
架空の総理、電力会社に留めている部分の真実に歪みなども感じさせらたのも事実なので

既に10年という時間が過ぎて
改竄されてしまうことも今後増えてしまうことでしょう

この映画により興味を持った方が別の視点でもこの出来事に触れることを切に願いつつ終わりたいと思います