キョーカイ

Fukushima 50のキョーカイのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
3.0
福島で何が起こっていたのか現実を知りたかったので見ました。

正直少し期待外れだった。
吉田所長をはじめとする現場の職員をヒーロー、東電本店や官邸を悪と明確に区別して描いていた点が気になった。明らかに吉田所長側の視点がメインになっていて、東電本店や官邸を庇うつもりは全くないが、少し悪く描きすぎかな?と思う部分はあった。

また、専門用語の解説や時系列の情報がほとんどないので、原発事故の詳細を初めて見る人が完全に内容を理解するのは無理だと思う。
ドライウェルベント、SBOといった言葉が普通に出てくる。

また色々な役職の人が出てくるので、役職だけでも字幕が欲しかった。最後まで東電本店の本部にいた人が誰だったのかよく分からなかった。

後半になるにつれて、映画的な演出された場面が多くなり、事実関係の解説が不十分だったと思う。
吉田所長と東電本店のやりとりは実際のビデオが公開されているが、実際のやり取りと映画でのやりとりが結構違うと感じた。ここも演出のしすぎでは?

佐藤浩一演じる主人公が家族に再会する場面など情緒的な場面は正直どうでも良かったが、原発に関わる人々を総合的に描く映画としては必要な描写だったんだろうなと思った。

自分のような、ドライに福島で起こっていた事実だけを知りたい人は何年か前にNHKで制作されたNHKスペシャルの再現ドラマを見た方が良いと思う。用語や時系列をわかりやすく解説してくれている。