だぼく

Fukushima 50のだぼくのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
4.3
Filmarks試写会にて鑑賞

東日本大震災から間もなく9年。
震災時、私は中3で、公立高校の後期入試直前でした。
あの頃は前期入試で受からなかった劣等感、焦燥感、虚無感で溢れていて、精神的に非常に窮屈な世界で生きていました。
周りのことにあまり興味を示さず、家と塾を往復する毎日。
はっきり言って、人間性を失っていたと思います。

そんな時に起こった東日本震災。
私の家族は親戚を含め、全員関西に住んでいたので、震災の直接の被害はありませんでした。
そのため、私の生活には一切影響せず、震災は完全に関心の外側でした。
唯一の接点はテレビ画面を通じた映像のみ。
バラエティ番組を見ようとテレビをつけると、流れてくる震災の様子。
どのチャンネルに変えても震災、震災、震災……。
当時の人間性を失った私は
「こんなものどうでもいい。バラエティを見せろ。」
とさえ考えるほど、関心がありませんでした。


そのような私でしたが、今回試写会という機会を頂き、今一度、東日本大震災と向き合うことにしました。
結論から言うと、本当に、心からこの作品を見て良かったと思います。

描かれていたのは、決して起きてはならなかった事実でした。
突然の地震、停電、津波、原発事故、そして日本の危機。
どれもこれも考えたくない、目を背けたくなる事の連続。
しかし、紛れもなく、私が住む日本で起こった事実。
死の淵の中、あの現場には逃げる事なく、立ち向かった人々が確かに存在しました。
彼らは誇りをかけ、命をかけ、日本を守りぬこうとしたのです。
これは、戦い続けた「名も無き人たち」の物語です。

これまで無関心であった自分が恥ずかしくなりました。
それと同時に、自分と同じように震災に興味を持たなかった人たちや、震災を知らないこれからの世代に知ってほしいと思いました。
一人でも多くの人に震災を日本の問題として、自分の問題として考えるきっかけとなってほしいです。

私は今、日本で生きている。
そんな当たり前を強く噛みしめていきたいと思います。
だぼく

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