いくまる

ホテル・ムンバイのいくまるのレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
3.9
誰も彼もが、時代の被害者で辛かった。
時代のせいだから仕方ない、ではなく、この時この場所にいなければ加害者にも被害者にもヒーローにもならずに済んだのに。

この映画が実話ベースなのは知っていたが、そもそもの事件をほとんど知らないという。
知らないというか、「またテロか…」くらいで流していたのかも。

当たり前なんだけど、私にとっては数あるテロ事件の中の1つでも1つ1つに命をかけたり奪われたりする人がいて、守る人守られた人がいるんだよね。
ホテルの中での明暗を分ける選択や、マニュアルを超えてお客様を守り切った従業員。
従業員の奥さんの焦りや心配。
あの時こうしていれば…の連続の中、信念を折らなかった従業員はヒーローだったけれど、それも何年後かにはもしかしたら逆転しているかもしれないと思うとやるせない。


人ではないはずだったのに。
とりあえずこのミッションが終われば元の日常に戻れるはずだったのに。
テロリスト側の少年たちの戸惑いがそのまま伝わってきたのも辛かった。
「少年たち側の作り込みが浅い」なんて評価もあったけれど、浅いも何も「彼らにとっては宇宙人を殺してこいくらいの指令だった」んでしょう?


信仰は手段であって、目的になってはいけないよね。
無宗教だからこそ、それが生きる糧になっている人の事も考えていかなければと思いました。
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