いじりすぎてしまい伝記としてはその使命を果たしていない所が多々あるのだが、普通にエンタメとして一人の女性の生涯を大まかに追ってみると楽しめる作品。
ジュリー監督は「アクロス・ザ・ユニバース」のような自由奔放な内容だと、そのイマジネーションが発揮されて素晴らしいのだが、今作のような伝記だとやりすぎてしまい、一番伝えなければいけないその人の生き様などがぼやけてしまっているのが残念。
また一人の女性としての掘り下げも足りないので物足りない。
生涯を追うという大前提があったのだろうが、大胆にある時期にフォーカスした方が人物を描きやすかったのではないだろうか。
そしてやはりネックになっているのがジュリアンのキャスティング。
プレイボーイのバニーガールになれるぐらい綺麗だったご本人。現在89歳とご高齢だが、それでも美しさの片りんを見ることが出来るぐらい。
で、ジュリアン。う~ん。女優の方が美で負けてるってのはどうなのよ?
さすがにアリシアはグロリアとは違う冷たい感じの美しさだが、これは納得。
女性解放運動自体にはいろいろ思う所はあるが、今作の一人の女性の生涯という事で見ると、面白さはある作品。
余談。
女性解放運動などについては以前「彼女たちの革命前夜」のレビューで書いたので、今回は以前から気になっていたことを・・・・・
よく、
「家事、子育てなどをやらされ、男は外に出て・・」という描写を見るが、本当にそうだろうか。
女が家事、男が仕事という割り振りは、決して男が強要した物ではなく、人類の長い歴史の中で、お互いが得意分野を選んだために自然とそうなったことに反論はないと思う。
人類も動物である以上、これが自然な定位置なのだが、文明の発達によりそのバランスが壊れたとみるべきだろう。
もちろん仕事上や家事での女性への不当な差別は無くならないといけないが、すべての人に「平等」を武器として強制するのは間違っている。
家事が好きで、男性に養ってもらうのが夢という女性もいるだろう。って言うか、その方が圧倒的に多いと思っているのは私の妄想だろうか。
生物としての男女。人間の歴史、文化から見ると、もしかしたら今の「いきすぎた平等」というのは不自然なのかもしれない。
まぁ、でも、よほど極端にこじれない限り、いずれは収まる所に収まるんだろうなぁ。
「水の低きに就く如し」で、無理な力はいずれ力尽きるって事だろう。