ぺんじん

オオカミの家のぺんじんのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.2
これぞジ・アート系映画!少女な不安な気持ちが家の壁面に表現されてゆく様は狂気に満ちていて素晴らしい。
かつてチリにあったドイツ系の農民コミューン。そこから逃げ出した女の子の不安と妄想が壁に映し出されていく様子はペンキがドロドロ流れていく感じもあって狂気!オープニングで一見コミューン紹介ビデオみたいになっている所も不気味だね!
ペンキで壁に絵を描いてはそれを塗り潰してアニメーションにしていく感じは本当に途方もない時間が掛かっただろうなと思う。紙人形を少しずつ作ってアニメーションにしたり、逆再生も使っているので本当に労力が凄い…「オオカミ」に襲われまいとして、閉じられた空間で2匹の豚と共同生活しようとする女の子の不安に満ちた心情がそのまま気持ち悪い壁のアニメーションに表現されているは本当に凄みがある…
アート的には面白いんだけど、最初から最後まで狂気に満ちているので抑揚が無くてちょっと単調かなと感じてしまう部分はある。なんかトリエンナーレとかで見たことあるような感じ。
ただこの迫力のある気持ち悪いアニメーションはまさに唯一無二!狂気の表現の裏にコミューンの政治的抑圧を感じさせるとこも素晴らしい。まさに目を開けたまま見る悪夢だ!
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