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下鴨ボーイズドントクライのERのネタバレレビュー・内容・結末

下鴨ボーイズドントクライ(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

 バンドのMVをもとに作られたような映画だった。mol-74の「エイプリル」とかの雰囲気。あと監督の人「サマータイムマシン・ブルース」好きなんかなぁ、タイムスリップして計画立てる辺りとかオマージュしてそうな気がした。あとで調べてみたら監督は立命館大学の映像学部出身らしい。軽音サークルが同志社大学のものだったから、勝手に同志社出身の方だと思っていた。

 ストーリーについては、映画の中で勝手にルールが決められていたり、観てる側が置いてけぼりになる展開が多少あった。カメラワークや音楽もやりたいことが多くて情報過多になっていたように思える。映画としてそこまで面白いとは感じない。

 けれど、それを差し引いても京都の映像が非常に良かった。大学生活を京都の左京区で過ごした僕としては、懐かしい場所や小物が映し出されて凄くテンションが上がった。昔僕も下鴨に住んでたし、正直タイトルから既に好感度高かった。京都メトロ、鴨川デルタ、そして川端通り沿いの稲盛財団記念館など、個人的にすごく懐かしくなる場所が撮され、大学時代を思い出すことができてエモかった。

 途中でバレーボウイズのライブに切り替わったシーンはいきなりで驚いたが、軽音サークルを舞台にしてるだけあって音楽のディティールは濃かった。台風クラブのTシャツとか、踊る!ディスコ室町のポスターが主人公の部屋に貼ってあったり、小物が個人的にすごく好み。京都の音楽シーンを描いた映画として、意義深いもののようにも思えた。
 
 京都でモラトリアムを過ごす人々をテーマにした映画は、数は多くないけれど世の中にそこそこ存在している。その中でも「下鴨ボーイズドントクライ」は、京都の音楽に密着していて感慨深かった。僕は思い出としてフィルターのかかった京都が好きなのだろう。僕個人のニーズに丁度マッチした、左京区で大学生活を過ごしていたころを思い出してくれる映画だった。
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