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ブラインドスポッティングのpnzのレビュー・感想・評価

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)
4.0
“Don’t shoot! Don’t shoot!”

軽快なラップミュージック、そして本人たちのラップにのせて語られるオークランドに生きる2人の話。

冒頭から音楽がめちゃくちゃかっこいいんです。主演2人が”この作品はもし内容が気に入らなくても音楽は最高だよ”って(笑)
本人たちのラップもすごい。たぶん劇中台詞の6〜7割くらいはラップ。

変わりたくても「オークランドの黒人」にしかなれないコリン
ずっと住んでいるのに「よそ者の白人」としか見られないマイルズ

この2人の見えているものの違いは、コリンが白人警官が黒人の射殺を目撃したところから顕著になる。
このときもしマイルズが一緒だったら、たぶんこの2人を取り巻く世間が生み出した人種の歪みみたいなものにずっと気づけないままだったんじゃないかな。

テンポの良さもさることながら、上記の件以降のコリンの幻覚シーンの画が非常にかっこいい。

朝のランニング中、墓地に立つ人、人、人。不気味な黒。
味方であるはずのマイルズが検察ポジションにいる裁判。嫌な赤。

ここの2シーンは鳥肌立ちました。コリンの追い込まれ方もよく分かる。

コリンの元恋人ヴァルが「ブラインドスポッティング(“顔壺”)」の話をするとき、
「そこに見えているものは2つあるのに、人間の脳は同時に2つを認識できない。”在る”とはわかっていても、見えていない側面は盲点と同じ」
的なことを言うんですよね。
この作品の主題はここなわけで、コリンの立場で観ることも、マイルズの立場で観ることも、はたまた白人警官の立場で観ることもできる。
ブラインドスポッティングの意味を加味するなら、どの立場で観たとしても残る側面も考えられなければならないわけで。

個人的に、人種差別をテーマにした社会派作品はこれと『デトロイト』『ブラッククランズマン』の3作は見とくべきだと思います。全部毛色が違うから飽きないよ。

そもそもこの「ブラインドスポッティング」の思考、私たちの生活でも当てはまる場面はいくらでもあるんじゃないか、そこに私たちは気づけているのか?ってところがミソかな〜って思ったり。


劇中での唐突なシャマランdisに笑ってしまったし(私はシャマランワールド好きです)、$10のグリーンスムージーを見て「は!?キリストの血かよ」っていう2人が最高すぎた(笑)
ユーモアのセンスも抜群なので、私の長い感想は気にせず軽い気持ちで観に行ってみてほしいな(笑)
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