朝田

ウィーアーリトルゾンビーズの朝田のレビュー・感想・評価

1.2
いや、これは酷い。この中島哲也チルドレンのような監督は映画を舐めている。自分の作家性を表現する媒体としか捉えていないのでは。マトモなショットが撮れないために使われるスローモーション、高速のカット割りといった浅はかな小手先演出の数々に辟易。「斬新」といえば聞こえは良いが、セリフをテロップで改めて表示したり、モノローグを多用したりただ単に説明的なだけである。最後の最後にメッセージを子役たちに直接言わせてしまう演出には愕然とした。また現代が舞台で、あまつさえSNS批判まで繰り広げるのにも関わらず効果音がファミコンゲーム的なレトロなサウンドなのも意味不明。現代の子供が何故あんな古めかしいゲームをやるのか。そもそもゲームの効果音を取り入れた演出はエドガーライトがとっくにやっていて斬新でも何でもない。その「ズレ」は肝心要の音楽にも表れており、端的に現代でバズるとされる音楽がロックである時代は10年前に終わっている。少女のハンディキャップが何の物語上の必要性も無いのも憤りしか感じない。どの層に向けて、どのようなメッセージを発したいのか。そこが曖昧なまま、自分のセンスを押し付けているだけ。監督のような「現代を象徴するもの=ロック、ゲーム」という認識の人間が大手広告代理店に勤めているのだとしたら相当ヤバい。あざといギャグもひたすら寒く、唯一笑えたのは上映前ゾンビと対峙したかのように騒ぎまくってたカップルが上映後に水を打ったように静かになってた事くらい。映画として0点だが何の演技もしていない菊地成孔と何の魅力も感じない子役たちの中で唯一可能性を感じさせる中島セナに1.2点を献上する。
朝田

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